再委託が禁止される理由

2012/3/1作成

「再委託 禁止 理由」というキーワードで検索してこられることがあるようなのですが、その場合に表示されるページが再委託のリスクですと、少々ピントがずれているというか、あまり回答になってないので、改めて「再委託が禁止される理由」について書いてみたいと思います。

まず一般論としてですが、法律として再委託が禁止されることは通常はありません。ただ調べてみると、建築業界などでは全部再委託(丸投げ)については禁止する法律もあるようですので、そちら方面の業界の方はご注意ください。

法律的に問題ないとなると、再委託が禁止されるのは契約書による縛りによるということになります。この場合、委託者は受託者に対して再委託(一部委託、全部委託どちらにしろ)をなぜ禁止するのか。その理由はなぜかという話になります。しかし、これは契約上の話になりますので、一般論としてはなかなか書きにくい。どうしても「○○ということらしい」というようなことでしか書けません。とりあえず私の経験したり聞いたりした話を、問題のない範囲で書かせていただこうと思います。

再委託が禁止される理由としておそらく一番大きいのは機密保持のためだと思います。委託者から受託者に対して業務を委託するわけですが、当然その業務内容についての詳細な情報が受託者に渡ります。企業秘密としておきたい内容も当然に含まれるでしょう。そうした情報は公にされてはこまりますから、委託者と受託者の間で契約書上で秘密保持条項を設けたり、別途秘密保持契約を結んだりするわけです。そうして受託者から外には情報が漏れないようにするわけです。

しかし、ここで受託者が再委託を行った場合、当然その業務を委託するわけですから業務に関する情報も再委託先に漏れてしまうことになります。委託者と再委託先は直接の契約関係にありませんから、再委託先は秘密保持の義務がありません。再委託先から秘密情報を公にすることに制限が掛からないことになります。そうなっては困りますので、再委託を禁止するわけですね。まあ、秘密保持契約がある時点で、再委託を行うことは契約違反になるわけですが。

あと一般に聞く話としては、公共事業案件についてでしょうか。これは秘密保持のためというよりは、全部再委託(丸投げ)するなら、再委託先と直接契約を結んだほうが安上がりになるわけだから、公共事業費の節約という意味で再委託を禁止されているようです。民間の場合は、契約金額が見合っていれば全部再委託(丸投げ)されようが別に構わないというスタンスですけどね。あと、再委託先は当然ながら元請よりも小規模な企業になりますから、信用という面で嫌われるという点もあります。その点もお役所とは違いますね。

とりあえず私の知っている範囲としてはこんな感じです。また外に理由がみつかったら加筆します。