倍々プッシュは必ず負ける

2010/8/20作成

倍々プッシュという博打の必勝法があります。倍々プッシュが一般的な名称かどうかは知りません。ぐぐってみたところ、マーチンゲールの法則というのが正式名称のようです。倍々プッシュという名称は、私は西原理恵子さんのマンガで知りました。

倍々プッシュは簡単な方法です。勝負して、勝ったらそこで終わり。負けたら賭け金を倍にして再度挑戦する。これを勝つまで繰り返すというわけです。永遠に負け続けることはまず有り得ないため、いつかは一度は勝てば、それまでの負けは全てチャラになってトータルで勝てるという方法です。一見正論のようですが、問題が一つあります。それは、負け続けた場合に賭け金が指数関数的に増額していって、あっという間に支払い不能な額まで到達してしまうということです。賭け金が尽きてしまえば倍々プッシュは続けられません。なので、この方法は理論上は必勝法(ただし100%ではなく、かなりの高確率で勝てるというだけ。永遠に負け続ける確率も存在する)なのですが、実現はほぼ不可能なわけです。

さてここからが本題です。投資の方法にも、この倍々プッシュに似たスタイルがあるのではないかと思います。例えば、100万円の資金を用意して、これを投資を繰り返すことによって2倍の200万円にしたとします。これは別に有り得ない話ではありませんね。さて200万円を手にした投資家はどうするでしょうか。次に200万円を更に2倍の400万円にしようとするのではないでしょうか。自然な心理だと思いますね。これを繰り返し、800万円、1600万円、3200万円、6400万円と増やしていき、ついに1億円を突破すれば富裕層の仲間入りです。夢のある話ですね。でも、ちょっと待ってください。

100万円を200万円にする確率を50%としましょう。すると、次の400万円に到達できる確率は25%。800万円は12.5%と、どんどん確率が低くなっていきます。倍々プッシュの逆で、ずっと勝ち続ける確率は非常に低いわけです。また、その少ない確率を勝ち抜いたとしても、最後のひと勝負で負けてしまったら、そこまでの勝ちは全てパーになってしまうわけです。まあ、実際には損切りしたりして、ゼロになることは回避するとは思いますけれど。

ええと、何が言いたいかと言いますと、投資においても倍々プッシュは避けた方がいいのではないかということです。100万円を200万円にすることができたとしたら、次は100万円は置いておいて、100万円を再び200万円にすることを目指した方が安全ではないでしょうか。成功すれば300万円になるというわけです。失敗しても、100万円が残っていますから、もう一度勝負することが出来ます。この方法だと複利が使えないので、大きくお金を増やすことはできませんが、一方でリスクを少なくすることが出来るのではないかと思います。