あちこちで「住宅は購入が得か賃貸が得か」という議論を見ますね。住宅関連誌はもちろん、週刊誌でもウェブサイトでもいろいろな試算をして購入が得だの賃貸が得だのとやっています。これらを見てわたしの出した結論は「どっちも一緒」です(^^)。ローン、家賃、修繕費用、管理費、敷金、礼金などを積み上げていくと、どっちかが絶対得になるとは言いがたいように思います。ならばかかる費用は確率的に一緒と考えた方が妥当だと思います。
賃貸の家賃は捨てているようなものだと言う人がいますが、それはおかしな考え方だと思います。一定期間住居を利用することに対する対価ですから、別に捨ててはいません。購入してローンを返し終えたら住居費が掛からないという意見もありますが、それも間違いです。管理費は発生しますし、ローンを返し終える頃だと大規模修繕や、場合によっては建替え/取り壊しなんてこともありえるでしょう。一方、賃貸派の人がよく持ち出すのが「収入が減った時、ローンが返せなくなる」という意見。もっともな話ですが、では賃貸だったら収入が減ったら家賃を払わなくていいんでしょうか?家族で暮らす限り、ホームレスにでもならない限り必ず家賃は発生します。家賃の安いボロアパートに引っ越すとしても、そのための敷金礼金引越し代は必要になります。結局、住まいに関わる限り、コストがゼロになることはありえませんし、コストが購入か賃貸で極端に変わることもありえないと思います。コストが変わるとしたら、それはどのグレードの住まいを選択するかによってでしょう。
また、「住宅は購入が得か賃貸が得か」の議論の場合、外して考えられないのが20年30年先の経済状況です。多少の費用の差など、インフレデフレで簡単にひっくり返ってしまいますから。わたしの親の世代はインフレのお陰で圧倒的に購入した方が得でした。しかし、それは結果論です。未来の事は分かりませんから、分からない事を前提に結論を出す事は出来ません。だから購入か賃貸かどちらかが得だと安易に結論を出すのは詭弁に過ぎないと思います。
そして、自分自身が購入すべきか賃貸に住むべきか、わたしの出した結論は購入です。それはなぜか。購入しても賃貸でも掛かる費用が確率的に同じであるとしたら、実際に住まえる住居の性能は購入した場合の方が圧倒的に上だからです。残念ながら日本では賃貸住宅というのは質がよろしくありません。さまざまな要因が重なってこの現状が出来上がっていますから、そう簡単にこの状況が改善される事はないでしょう。その中で自分の生活の質を向上させるには、購入するしかないわけです。