少子化対策は欧米を見習うべきか

2026/8/12作成

出生率「日本1.14」「韓国0.80」の悪夢。欧米と決定的に違う日本の「少子多死社会」という「本当の立ち位置」

日本の出生率は低いので、出生率の高い欧米を見習うべきだとの主張です。ちょっと待ってください。2010年代ならともかく、今頃そんなことを言われても困るんですよ。

2010年代には補助金によってスウェーデンやフランスは高い出生率を誇っているから見習うべきだという論は成り立っていました。しかしそうした政策支援によっても出生率の低下に歯止めがかからず、出生率優等生であったスウェーデンやフランスも出生率低下に悩まされているのが2026年の現実です。現時点での出生率だけを比較してあちらを見習うべきだと言われましても、その数値の違いは時間差で発生しているだけという見方もあります。つまり、欧米も後追いで人口減少しているということですね。

なぜ欧米が後追いかというと、経済発展のスピードの影響が大きいと言われています。産業革命で経済が大きく発展することにより、多産多死から少産少死に人口動態が変化すると考えられています。ヨーロッパはこの点で世界最先端でしたので、変化に200年くらいかけています。なので人口減少のスピードもゆっくり。日本はこの変化を数十年くらいの短縮版で実現しました。なので人口減少スピードもかなり速い。その結果、あとから経済発展した日本が、人口減少では欧米を追い抜いて先頭ランナーになったと考えられます。

出生率の低下はアジアや欧米だけではなく、南米やアフリカでも起こり始めています。従来これらの地域の人口爆発が地球環境における課題になると考えられましたが、それよりも世界人口全体の減少という歴史上なかった自体に直面する可能性すらあるのが現状です。そしてこれらの国では経済発展しきる前に人口減少が始まってしまうという最悪のシナリオになる可能性もあります。その点で言うと日本や欧米は経済発展を終えているので、まだマシともいえる。

実際のところ、人口学においては経済発展で出生率が低下するのはほぼ定説となっていて、議論の中心はどこまで下がるかに移っているそうです。従来、1.8くらいで止まるんじゃないかと思われていたところ、アジアで1.0前後まで下がってしまった。これはアジアの特殊事情かと思われていたけれど、欧米でも1.8を下回り始めていて、これは人類全体の傾向かもしれないというのがイマココですね。

また、欧米で出生率が比較的高い理由として、高い移民率も考えられます。欧米では人口の10%から20%程度が移民ですね。移民の多くは比較的出生率の高い南米やアフリカから来ますから、欧米に来ても生活習慣を維持して出生率が高くなると考えられます。一方、日本やアジアの国では移民率は数パーセントですから、移民による出生はそれほど期待できないという面もあります。

ただここで注意しないといけないのは、移民によって高い出生率を維持したとすると、数十年後には人口における移民の割合がより高くなるということです。移民差別もあるので非常に取り扱いの難しい問題ではあるのですが、実際のところ移民による文化摩擦は発生していますし、移民割合が高くなるほど摩擦も激しくなることが予想されます。この点でいうと、日本は少子高齢化で課題先進国と言われていますが、欧米は移民共生社会の課題先進国という見方も出来ますかね。ブレグジットなど、特にヨーロッパにおける移民問題は非常に深刻らしいですし。

あともう一つリンク先の記事では日本の高い死亡率を問題視していますが、そもそも日本は世界トップクラスの高齢化率を誇る国です。老人が多いので死者が多いのも当たり前のこと。そもそも何を問題視しているのかすら理解できません。