ここ最近、自分の中で生成AIを使う頻度があがってきて、それにつれて「こういう時にはこんな感じで使えるかな」という知見が溜まってきたように思います。知見と言っても別に言語化できるようなものではなくて、単に体感での経験値があがってきたかなという話しです。
あ、ちなみに生成AIはほぼ ChatGPT のみを使ってます。分野や用途によっては他の生成AIの方が得意なこともあるでしょうけれど、どうせ日進月歩で進化しているから、いずれそのレベルには ChatGPT も追いつくだろうし、私の使い方のレベルでは ChatGPT で不足するということもないしということで、特に使い分けとかなく ChatGPT のみです。なので生成AIといっても、テキスト対話型しか使ってないです。
本題に戻して、体感での経験値が溜まってきた話しです。日々疑問に思うことが発生したときに、これはググったらいいかな、それとも ChatGPT に聞いた方がいいかな、ChatGPT に聞くとしたらどんな問いかけをすればいいかな、って感覚が身についてきたと思うんですよね。これは体で覚える感覚なので、一定以上実際に自分で ChatGPT を使ってみないと身につかないものではないかなと思います。「できる ChatGPT」みたいな本を読んでもいいけど、読んだだけでは身につかないと。それが自分の場合は臨界値を超えたような気がする。まあそういう話しです。体感の経験値があがると ChatGPT の利用頻度もあがるので、より使い方が分かるようになるという好循環にも入っていると思います。最近ではほぼ毎日なんらかの疑問について ChatGPT に相談するようになっています。ググるのって毎日のことですが、それに近いツールになってきたという感じですね。
生成AIというとプロンプトエンジニアリングですが、個人的には懐疑的です。そりゃあプロンプトの冒頭に「あなたは経験10年の Python エンジニアです」って書くのと書かないとでは応答の質が変わるんでしょうが、それって現在のバージョン固有の話ですよね。将来のバージョンではいちいちそんなことを書かなくてもよくなることが期待されるわけで、であれば現在のバージョン固有の些末な TIPS を一生懸命追いかけるのは個人的にはコストメリットを感じないですねぇ。現在のバージョンでとにかくどうしても最良の回答を得なければならないって命題ならばともかくですが。
プロンプトエンジニアリングを駆使しないとイマイチな回答しか返ってこないかもしれないのですが、そこは対話型なので、追加質問すればいいと思うんですよ。さっきの回答はここが的を外してるのでって指摘を繰り返していけば、最終的には望むレベルの回答が得られるんじゃないですかね。ていうか、私はそれで望む回答が実際に得られてますし、プロンプトエンジニアリングを使わなくても特に困ってないです。あくまでも生成AIが未熟な過渡期に必要なスキルでしかないだろうなぁと思ってます。プロンプトエンジニアリングって。
対話型の生成AIを使うというと、こちらから質問を投げかけて、それに対して生成AIが回答するということの繰り返しです。対話型ですが、人間同士の対話とは違い、生成AIとの対話では常に主導権を握っているのは人間側です。AIはあくまでも質問されたことに愚直に回答することしかできない。ここ、多分重要な点ではないかと思うんですよね。AIと延々と対話していると、大半はAIの出力で埋め尽くされますから、一見するとAIが主導権を握っているように見えてしまいます。でも実際には主導権は人間の側にあるんですよね。だから、AIとの対話が有意義になるかどうかは、全て人間側にかかっている。AIがイマイチな回答しかしてくれなくてと困っている人が居たとしたら、それは多分AIに対する問いかけ方が不十分な可能性が高い。これって、言ってしまえば会議のファシリテーションと同じようなものじゃないかと思うんですよ。生成AIを使うにあたって、プロンプトエンジニアリングなんかよりも、ファシリテーション能力の方がよっぽど大事なんじゃないかと思います。
多分ですけれど、会議をうまく取りまわせる人は生成AIの使い方もうまいんじゃないかと思います。部下に適切な指示を出せる人もそうかもしれません。それって、一般的に言われる「仕事のできる人」って言い方をしてもいいのかもしれない。相手が人間であっても生成AIであっても、必要なスキルは変わらない。人間相手にうまくやれない人が生成AIを使って驚くような成果を出すなんてことは、物語の中でしかあり得ないのかもしれませんね。
ちょっと話を変えて、最近私自身もスキマバイトについて ChatGPT と話してレポートをまとめてもらったとして、ChatGPT にレポートを生成してもらいました。論旨は私が考えたものですが、それを補強して文章にまとめ上げたのは全て ChatGPT です。この量のテキストを自分で書いたとしたら何日もかかったでしょうが、ChatGPT に書いてもらいましたので、掛かった時間はトータルでも30分程度です。たった30分でこのレベルのテキストが出来上がるんですよね。単純に凄いなぁと思います。
もちろんこのレポートは穴だらけです。パッと読んだ限りでは文章としての破綻はありませんでしたが、論旨として不十分なところはいくつもありそうですし、そもそも文章中に提示されている事実は真実なのかどうかという検証は全く行っていません。それを全部裏どりするだけでも相当な手間がかかりそうですね。なので、とっかかりのそれっぽいレポートをでっちあげるのには ChatGPT は便利ですが、本当の意味での使い物になるものを作り上げるのにはまだまだ不十分と言えるでしょう。
なんとなくの感覚として、こうしたレポートを生成AIで短時間で作ってしまうのって「ズルい」と思ってたんですよ。でもよくよく考えると、これって果たしてズルいんだろうか。生成AIも現時点ではあくまでも便利な道具にすぎません。ワープロを使って短時間に綺麗な文書を作り上げることに対して、手書きで文書を作っている人がズルいと感じるかもしれませんが、現代ではそれは一般的な感覚ではないでしょう。であれば生成AIに対するズルい感覚も、今後短期間に消失するものではないかなと予想しますがどうでしょうかね。