闇バイトとかで銀行口座が作れなくなるのはどうか

2025/11/14作成

妻のNISA口座を開こうと思ったらどこの銀行からも拒否された、おかしいと思ったら闇バイトで口座を利用したことがあった「銀行口座の不正利用は色々詰むので絶対ダメ」

闇バイトで銀行口座を売ったことがあると一生銀行口座が作れなくなると。これについていろいろ思うところがあったので書き出してみます。

まず、現代日本社会において銀行口座の果たす役割は非常に大きいです。実質的に、社会生活を行うのに必須と言っても過言ではないでしょう。そんな銀行口座の開設は、基本的人権とまではいかないまでも、それに準ずる権利とする考え方もあると思います。同様のものに電気ガス水道の契約とか、電話回線・携帯電話もありますね。

もしも銀行口座開設権が人権の一種であるとするなら、その人権を制限するのは刑罰ということになります。法治国家において国家以外が刑罰を行うことは禁止されていますが、銀行口座開設の拒否は私企業である銀行が決定して行っています。ということは、これは銀行による私刑と言えるのではないでしょうか。おそらく銀行は契約自由の原則を持ち出して反論すると思いますが、免許の必要な銀行業で独占して行っている業務で、しかも銀行業界で共通の口座開設拒否データベースを保持していることから、契約自由の原則はちょっと成り立たないのではないでしょうか。だって、契約自由の原則は他の銀行に行けばその銀行には口座開設の自由がある場合ですよね。実際にはそんな自由はないわけですから。

次に、そもそも銀行口座を売っているのは闇バイトに応募した末端のバカ者(バカな若者だけど若くない人もいるよね)でしかないことです。口座を売るのはそれ自体が犯罪ですから、捕まって処罰されるのは問題ありません。ただ、詐欺などの巨大な犯罪を犯すラスボスは口座を買った方です。ラスボスを捕まえて処罰しないことには、詐欺などの犯罪は取り締まれません。口座を売る者を片っ端から捕まえたところで、新規に口座を売る者はいくらでも集められますので意味がありません。元を絶たなきゃダメなのに、末端だけを叩いている状態。これでは詐欺などの犯罪がなくならないですよね。だからって口座を売る者を取り締まらなくてもいいってわけではないですが。

こう書くと「末端に厳罰を科すことで、新たな応募者がいなくなるようにするんだ」という抑止論を唱える人が出てきますが、それも実際にはどうかと思います。言っちゃなんですが、闇バイトに応募するようなバカ者は情報弱者ですから、普段からニュースなどを見ているとは思えません。ニュースを見ていたとしても、こういった末端犯罪者には境界知能の者も多いことから、将来の人生の不利益と、目の前のわずかな報酬を比べて、適切に判断出来るとも思えません。つまり抑止にはなってないってことですね。

銀行業界は口座売却者のデータベースを持っているわけですが、このデータベースが正確である保証はありません。同姓同名同生年月日の人が偶然に口座を売ったことによって誤登録される可能性はありますね。非常に低い可能性とはいえ、差し押さえですが実際にある日、銀行口座から預金が全て消える→調べてみたら住んだことがない京都市から税金滞納を理由に差し押さえられていたであったことですから、他にも同様の事例があると考えるのが自然です。そもそもデータベースへの登録処理自体にもミスがある可能性だってありますしね。

このデータベースは個人情報にあたるわけですが、個人情報保護法の例外規定に該当することから一般からの参照や削除の要請には答えなくてよいそうです。誤登録されてても、口座を開設しようとしても拒否られて、理由を聞いてもお答えできませんとしか言ってくれなくて、データベースの誤登録を疑っても拒否られたら、事実上詰んでしまいますよね。SF小説に市民登録が誤削除されててんやわんやになるというネタがありますが、それがリアルに発生するということです。しかも救済の手段が事実上存在しない。これ恐ろしいなぁ。

犯罪者にある程度の罰則として銀行口座開設禁止の処置を施すのは、果たしてそもそも意味があるのかって問題もありますよね。表社会で生きていけないように追い込んだら、そりゃあ裏社会に走ってしまうってもんです。これ、元暴力団の人なども同様で、銀行口座作れなくて社会生活送れなくて、結局また暴力団に戻っていってしまうってのもあるあるだそうです。一方で無制限に銀行口座を作らせたら、その口座を使った犯罪のし放題になってしまうというのも、それはそれでわかる。であれば、こういった人たちには犯罪には使いようのない、それでもって一般社会生活を送るには支障が無いような、機能限定口座を開設させるというのはどうでしょうかね。具体的には預金残高の上限を設けたり、振り込み回数に制限を設けたりってことになるわけですが。ああ、書いてて思ったけど、これってクレジットカードの信用モデルと同じじゃないですか。信用スコアをアップしていけば銀行口座の機能も徐々に解放されていくというようにすれば、犯罪者に関係なく一般市民向けのサービスとしても魅力的じゃないですかね。そもそも一般市民には何億円も何兆円ものお金を入金可能な口座なんて、あっても意味ないわけですし。