丁寧な説明が求められる話

2023/7/9作成

マイナンバーというかマイナンバーカード関連で随分と騒動になっていて、政権を揺るがす課題にもなりつつあるっぽいですね。発端の一つは日本の住所がやばいであった住所正規化の問題ですが、それ以外にもまあいろいろとありますわね。

反対派の人たちの言うことには理解できることもある一方で、ただの誤解や理解不足だよなぁということもあります。でも声が大きいから誤解であってもそれが広まって大きな動きになってしまっている。この構図、どっかでみたことあるなぁと思ったら、コロナ禍最盛期の頃のことだなと思い出しました。

コロナもいろいろありました。まだ終わってないんですけどね。ともかく、緊急事態宣言が繰り返し発令される頃は特に大変でした。コロナ自体についてもわかってないことが多かったこともあり、情報が混乱したことも一因ではあるでしょう。それでもコロナが人から人に感染する呼吸器感染症であることは間違いないわけで、そこから導出される基本的な情報ってのはあるんですよね。でも、そんな基本的な情報すら行き渡らず、誤情報に基づいた混乱も多くありました。これ、すなわち情報伝達の問題かなぁと思うんですよ。

コロナ禍ではリスクコミュニケーションということも盛んに言われました。情報をただたれ流すのではなく、過不足無く、適切に伝えることの重要性ですね。また、コロナは感染症ですから、情報の理解には基礎的な医療知識が必要となります。そのあたりの周知も必要になりますね。でも残念ながらリスクコミュニケーションは十分には行われず、コロナ禍では大きな混乱がみられてしまった。その混乱は今も続いています。そして、これと同じ構造の問題がマイナンバーでも起きてるのかなという気がするのです。

マイナンバーは主に行政事務に関するものですから、その理解には行政事務の基礎知識が必要です。今特に話題になっているマイナンバーカード保険証については健康保険の仕組みや請求業務についての基礎的な理解が必要です。識者にとっては当たり前のことなので、わざわざ説明しない。一般大衆はそんな事情は知らないから、自分の知識の及ぶ範囲で理解したつもりになって判断しているから誤解になっている。この知識差を埋める努力をしていないのが問題かなぁという気がします。

情報が正確なら大丈夫ってこともないんですけどね。正確に理解していても、スタンスとしておかしなことを言う人は居ます。例えば逆張りの意見を言って注目を集めたいインフルエンサー。もしくは、とにかく政権に反対意見を言うことがアイデンティティになっている何でも反対野党。彼らは反対意見を言うこと自体が存在意義ですから、正確な情報があろうが無かろうが常に反対意見を言います。それはまあそれでしょうがない。一方、彼らを支持する大衆というのは別に反対意見を言わなければいけない義務はない。ちゃんと説明されて理解できれば納得するという人も一定数いるはずですよね。理解した上で反対というのであれば、それは一つの意見として尊重されるべきですが、誤解や情報不足に基づく反対であれば、それはまず誤解を解いて情報不足を補う必要があるんじゃないですかね。民主主義ってのは、参加者が十分な情報をもち、理性的な判断をすることが前提でデザインされてると思ってます。理想論ですが。実際には衆愚政治に陥りやすいわけですけどね。

孫子に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とありますね。正確な情報がなければ戦いに勝つことはできない。これは兵法に限った話ではないですよね。間違った情報をもとに判断にしていたら、間違った道に進んでしまう。正しい情報を得ることが大切なんだと思います。