キャリアブレイクという考え方

2023/5/30作成

“無職期間=小休止”という文化を、日本に根付かせたい。「キャリアブレイク研究所」がつくる、休・離職者が“感性を取り戻す”場とは?

私はもともと数年働いてしばらく休んでを繰り返す暮らし方がいいなぁと思っていたのですが、そこにキャリアブレイクという名前が付いているのを知りました。後藤隊長も言っていましたが、名前が付くことで一気に概念が具体化しますよね。

日本では未だに、というと主語が大きくなりすぎますかね。自分自身の経験で言うと非常に狭い範囲の知識でしかなくなってしまうのですが。あとはニュースで語られる話を総合したところで語りますか。ともあれ、新卒で就職して定年まで終身雇用という概念は随分と崩れてきました。転職も当たり前になってきたんですが、一方で転職し放題というほど日本の企業社会の流動性は高まっていません。転職は何回までならキャリアの傷になりませんかなんてのは、転職サイトの定番ネタですし、そこではキャリアアドバイザーの方が真面目に何回までにしておきましょうなんてアドバイスしていたりします。まあ、気持ちはわからんでもないです。採用側にたってみると、せっかく採用するならある程度長期的に働いて欲しい。数年、もしくは数か月くらいで辞められたら採用と教育のコストに見合ってませんし、ある程度長期的に働く人がいるから組織づくり文化づくりが出来るというものです。なので、転職ばっかりしてる人が嫌がられるのはある程度理解できるけれども、一方で長く働く人だけを重視しすぎているようにも言える。多様性という意味で考えると、長期で働く人と短期で働く人が入り混じっている方がよいですよね。比べるものではないですが、株式市場は長期保有やらデイトレーダーやらが入り混じっていることで市場の流動性が保たれています。組織や雇用においても同様ではないでしょうか。

ちょっと話がそれました。組織側の話ではなく、個人としてのキャリアの多様性なんですよね。一つの会社でずっと働き続ける。それを否定するつもりはないし、そうしたい人はそうすればいい。問題は、あちこち転々としたり、働いたり休んだりいろいろやりたい人が今の社会には居場所が少ないってことなんですよね。

これはライフシフトの考え方にも反してるんですよね。教育・仕事・引退の3ステージ固定ではなくマルチステージで人生を過ごそうと思っても、仕事の面で受け入れてくれる企業が少ないと、マルチステージが選択できなくなってしまう。ということで、キャリアブレイクという考え方は非常にいいなと思います。

ただ、記事を読んでいて私の誤解かもしれないけれども、ちょっと気になったことがないでもない。それはあくまでもキャリアを中断しているという考え方。これはキャリア=仕事が人生の主題であって、仕事を頑張るための休養期間が必要って捉え方をしてるんじゃないかなってこと。個人的にはそれはちょっと違うなぁというか。仕事と休養は同格のものであって、どっちが主体ということはないです。というか、休養がむしろ人生の主役であって、仕事は休養時期に好きなことをするためのお金を稼ぐ手段と割り切って考えることも出来るかなと思います。旅人業界(業界なのか)にはこういう人いっぱいいるんですよね。働いて、ある程度お金がたまったら退職して放浪の旅に出る。お金が尽きたらまた働く。その繰り返しって人。そういう人にとってはキャリアブレイクではなく、仕事してる時間がトラベルブレイクだったりするんじゃないですかね。