即売会でなんで早く帰ってしまうのん問題

2022/7/25作成

廃墟同人写真集大手「廃墟探索部」稲葉渉氏: "腐女子の「目当てだけ買って即帰る」というムーブ対策しないと、ほんとに殆どの同人サークル側はリアルイベントに出る理由が無くなる“への反応

よく燃えていらしたこちらに言及。といっても元ツイートの人は既にフルボッコになってますし、今更私が追加で指摘しなきゃならんこともないので、関連して思うことをつらつらと書いてみようと思います。なお、いつものことですがあくまでも私が見聞きした範囲のことで合って、これが全ての真理というわけではありません。他の人には違う風景が見えてるでしょうし、感じ方もそれぞれでしょう。

まず一般入場者が早く帰ってしまう問題ですが、これもう構造的にどうしようもないと思うんですよ。私も30年前にパソケットに参加してた時にも思ってました。開場して1時間くらいは大混雑なのに、そのあとは一般入場者はほとんどいなくなってしまう。開催時間はまだあるのに勿体ないなぁと思ってたんですが、そもそもスペース数が少ないから、全スペースを見て回っても1時間くらいで見終わってしまうんですよね。全スペースを見切れないくらいサークル数が多いのってコミケとかの一部の特殊な即売会だけであって。

私の場合ですが、だいたい1000スペースくらいの即売会でも1時間くらいあれば全部見て回れます。そりゃま全スペースを見本誌を一つ一つ丁寧に目を通してたら1時間ではとても見れませんよ。でも実際には全スペースでそんなことはしないわけで。遠目にちらっと見て、興味ひく要素がなければ素通りしますから、1スペースにかける時間なんて数秒程度です。あくまでも私の場合ですが。

ということで、入場者が開場直後に集中するなら、開場1時間くらいで一般入場者がはけてしまうのは、そりゃもう必然だろうなぁと思います。これに対しては、入場時間をばらすという方法で対策とってる即売会もありますね。コロナ禍のコミケもそうですが、チケットに入場時間が定められていて、その時間でしか入場できない。これで開場直後以外の時間でも一般入場者が居る状態が作られます。また、BLACK FTZが参加しているおもしろ同人誌バザールのように都心で開催して、即売会自体についで寄り出来るようにするというのもあります。コミケなどの大規模即売会の場合は会場の都合で都心からは離れた会場にならざるを得ないですよね。そのため、行き帰りを含めて一日仕事になってしまうので、入場時間も均一にならざるを得ません。それに対して都心で開催されると、午前中は別で買い物して、午後は即売会に行こうというような予定を組むことも可能です。なんなら午前中に開催してるツイート見て、午後から出かけてくるなんてこともありますしね。

ただまあ、元ツイートの人の言いたいことってそうではないんですよね。開場直後に一般入場者が集中することを嘆いているのではなく、メインの買い物が終わったらさっさと帰ってしまうことを嘆いている。これについては元ツイートの人の評論・情報ジャンルならではの事情がちょこっとあるので、それについても少し書きますか。

というのはですね、ぶっちゃけた話として評論・情報ジャンルってジャンル全体がついで買いで成り立ってるんですよ。評論・情報ジャンルをメインに買いに来る人ってゼロではないけどかなり稀少。他ジャンル目当てで買い物に来た人が、ついでにぶらぶら散歩して買っていってくれるという需要が大きなウェイトを占めてるんですね。評論・情報ジャンルって。だから、メインの買い物が終わったらさっさと帰られるとって恨み言が出てくる。まあ気持ちはわからんでもない。でも他の人も指摘してる通り、買いに来てよってツイートするならともかく、腐女子批判であったりとか、即売会文化の存亡危機みたいな煽り方をするのはよくないなぁと思います。

メインの大手サークルの本だけ買って帰ると中小サークルが存続できないってのは理屈としてわからんでもないです。大手サークルの本だけ買うなら通販でいいわけで即売会イランやんってのも一理あります。ただ、即売会文化の存続を言うなら、存続させる最大の方法は参加者の多様性を確保することだと思います。つまり、メインの大手サークルの本だけ買って帰るような参加者も含めて受け入れること。これを「全スペースをくまなく見て回る人しか来ちゃダメ即売会」とかやりだしたら、それこそ即売会文化は一瞬でなくなってしまうでしょうね。そういう意味で、全ての参加者を受け入れているコミケの懐の深さは流石だなぁと思います。

評論・情報ジャンルがついで買いで成り立っていると書きましたが、ここの一石を投じているのがさきほども書きましたおもしろ同人誌バザールです。評論・情報ジャンルのオンリー即売会を開催し、しかもそれを定期開催してる。これ画期的なことなんですよね。こんな感じで多様な即売会が開催されるのも同人誌全体の多様性に繋がるので、こういう動きがもっともっと広がるといいなと思います。他ジャンルを批判したり腐したりするのではなくてですね。