日本の生産性の低い理由

2022/4/6作成

日本だけ給料が上がらない謎...「内部留保」でも「デフレ」でもない本当の元凶

バブル崩壊以来30年、日本では給料も物価も上がらず経済成長もしておらず、世界に取り残されていると言われています。言われているというか、実際に各種統計数字に表れていますから事実なんだろうとは思いますが。では、なぜ日本だけが取り残されているのかなということに対する記事がリンク先です。記事ではIT化の遅れから生産性の改善が進んでいないことが直接の原因とし、その要因としてIT化を進めない経営陣を甘やかしている日本社会に理由があるとしています。

記事の指摘が事実かどうかはわかりませんが、一旦事実だと仮定して。なぜ今の経営陣がIT化を進めないのかなという理由を想像した時に、過去の成功体験にとらわれているからかなという気がしたので書き記しておきます。

世代論は意味が無いという言説がありますが、それは世代で個人を推し量るから意味が無いのであって、集団を見るときには世代論は一定の傾向を示す意味があるのではないかと思っています。この場合は、現在の日本社会の経営者や各界のリーダー層の世代ですね。今が2022年ですから、リーダー層が60代とすると、彼らが生れたのは1950年から1960年頃になります。団塊の世代の少しあととなりますね。

これらの世代が子供の頃は、もはや戦後ではないと言われた時代。そして社会に出たのは高度成長期からバブルという、日本が豊かになっていく一方の時代です。負けを知らずに育ったのがこの世代の特徴かなと思います。

成功したにしても失敗したにしても、なぜ成功したか失敗したかの理由を分析できればいいのですが、そこまで深く考えられる人は多くはありません。大抵は、因果関係を考えることなく、行動と結果を結び付けて考えます。つまり、今のリーダー層はうまくいっていた時代を青年時代に過ごしていますから、自分たちのやっていたやり方が正しいんだと学習しているわけですね。パワハラセクハラ当たり前、24時間戦えますかで頑張ったからうまくいってたんだ、コンプラとか働き方改革とか言い出したから日本はダメになったんだって言ってる60代のリーダー、いくらでも思い当たりますよね。要はそういうことではないかと。

彼らが成功していた時代にはITなんてありませんでしたから、当然今でもITなんて導入しません。紙と電卓と電話とFAXでひたすら頑張れば成功すると信じています。それとは別に人は年をとればとるほど変化を嫌いますので、今までと違うやり方を導入するのは嫌だってのもあると思います。

こういう性質って多分日本人固有ではなく人間に共通のことじゃないかと思うんですよ。日本はかつて豊かだった時代を経験したから、その時代を過ごした人がリーダーになっても昔のやり方に固執する。今の新興国は昔に豊かだった時代がないので、新しいやり方に躊躇なく取り組むことが出来る。その点でいうとすごいのがアメリカという国で、ずっと豊かなのに常に進化し続けてられるというのはどういう国民性なんでしょうかね。その仕組みには興味あります。

昔のやり方に固執してしまうという意味では、リーダー層の年齢が高いほど問題になりやすいとも言えますね。今成長できている国って多分リーダー層の年齢が若いんだろうと思います。若ければ昔の成功体験がそもそも無いですし、新しいものにも果敢に挑戦することができます。日本だって明治維新という大きな変革期には若いリーダーが多数登場しましたしね。

ということを考えると、リーダー層の世代交代が必要なんですが、老人が老人に席を譲っている今の日本ではなかなか期待できないですよねぇ。まあ時間が過ぎれば人は自動的に年をとっていきますので、あと10年もすれば豊かだった時代を知らないリーダーが登場するでしょう。そうするとIT化は少しは進むかもしれませんね。