偏差値40に向けて作れって話

2022/2/1作成

発端はこのあたりですかね。

CMは偏差値40くらいで設計されていることが証明された…?

要するに馬鹿でもわかるようにCMを作れという話で、元ツイート自体は選民思想というか大衆見下視線が丸出しで下品そのものなんですが、そこに参考になる話がないわけでもない。

「偏差値40に向けて広告を作る」の本当の意味

こちらなどはかなり分かりやすく解説してくださっていて、内容にも素直に首肯出来ます。要するに、CMってのは自ら見に行くものでは無いので受け手の姿勢が受動的であること、主にリラックスタイムで視聴されるので脳が活性化してないことなどから、そんな状態でも刺さるようにわかりやすく作ることが大切だって話ですね。つまり受け手の姿勢も重要って話ですよね。多分実際にCMを作ってる人たちはみんな意識して行ってることだと思います。そこをわざと悪い言葉を選んでバズらせる元ツイートも、ある意味計算してやってるんでしょうがそれは置いておいて。

そしてこの話は何もCMに限らず、モノを作ることすべてに置いて言えることだと思うんですよね。自分自身のために作るモノで無い限り、作られたモノには受け取り手がいるわけで、その受け取り手に伝わらないモノは意味がないわけです。分かる奴にだけ分かればいい芸術も、それはそれで意味はありますけどね。

また、偏差値40ってのも指標として分かりやすいですが、誤解を生みやすいとも思います。偏差値70の秀才の人がどんな分野のものでも全て理解できるとも限りません。得意分野なら大丈夫でも、不得意な分野なら瞬時に理解することも出来ないですよね。

より一般化すれば、モノづくりにも限らないんですよね。極端な話、上司に仕事の報告をするのだってそうです。忙しい上に細かい状況まで把握していない上司に対して短い時間で適切に情報を伝えるためには、伝える側の言葉の工夫必要です。ずっとその課題に取り組んできた担当者と同じレベルの理解をしていないと分からない込み入った話をいきなりしたって、上司がそれを理解できるわけはありません。上司と部下に限らず、夫婦でも友達でも誰とでもそうですよね。

ということで、ちゃんと伝わるように伝えるのって大事だよねって話にまとめられるかなと思います。この話は。

(2022/2/3追記)

そういえば偏差値40に向けての具体例があったのを思い出しました。

なぜアメリカでは「1/3(サード)パウンダーバーガー」は「1/4(クォーター)パウンダーバーガー」に負けたのか

1/3ポンドの方が1/4ポンドよりも大きいわけですから同じ値段ならお得なんですが、消費者には4と3しか目に入らなくて小さいと思われてしまったというお話です。そんな馬鹿なと思ってしまいますが、実際のところそうなんでしょう。これをアメリカ人は教育レベルが低いと切って捨てるのは早計なんですね。例えば今ですとコロナ第6波真っただ中ですが、「新規陽性者は1万人、うち6千人がワクチンを2回接種していました」ってニュースに対して「ワクチン打たない方が感染しなくて済むじゃないか」ってコメントがついて、しかもいいねをたくさん集めてたりします。言うまでもないことですが、ワクチン接種率が8割に達してる日本においてワクチン接種済みの人口の方が多いわけです。感染率で言ったらワクチン接種した方が感染しにくいわけですね。でもニュースの数字からそういったことを読み取れない、言ってしまえば偏差値40の人がそれなりの人数存在するわけです。

この問題、企業にとっては偏差値40層を自社の顧客で無いと切って捨てることも可能なんですよ。それなりの知力がある人だけを相手に商売すると。間違って偏差値40の人に向けて広告が届かないようにターゲティングだけ気を付ければいいんですね。でもそうはいかない代表は政府や自治体でしょうね。政府や自治体が偏差値40は国民ではないなんてことを言いだしたら大問題です。そういう部分もないこともないですが。

そして身も蓋もも無い言い方ですが、教育と貧困はある程度相関があることが知られていますから、政治による救済の必要な人ほど複雑な情報を読み解くことが難しくなる。教育レベルの問題もありますが、日々の生活が目いっぱいになっていて、行政の支援情報などにアクセスする余裕がないというのもあります。日々、悲惨なニュースが報じられていて、支援の手が届いていれば違った結果になったのではないかと思うことがありますが、今まさに追い込まれている人が役所に行って適切な窓口を選び出して自分の状況を客観的に分かるように説明し、あまたある手続き書類を全て漏れなく揃えるというのは、困難だろうなぁとも思います。