IT企業が東京に集まる理由

2022/1/25作成

なぜIT職は首都圏に一極集中するのか【6割が一都三県在住】

遠隔地でも仕事が出来るIT企業がなぜ東京に集中しているのかという疑問ですが、これ疑問自体が解答になってるんですよね。どこでも仕事が出来るから東京にあるんですよ。現地に居なくても仕事が出来るから。これが実際にモノを扱う業種の場合、全国に事業所を展開しなければなりません。病院や介護事業所が東京からリモートでサービスを提供するなんて出来ませんよね。でもIT企業なら出来ます。東京のオフィスからデータセンターにアクセスしてサーバを運営します。データセンターも東京にある必要はないんですよね。実際には機材の物理的なメンテナンスが皆無には出来ないから東京にあるんですが。でもクラウドサービスを使えば、ほんとにどこでもいいです。そうして全てネット上で完結して全国に、全世界にサービスを提供できるのがIT業界です。IT業界というかネット業界に限るって感じではありますが。

そもそも、この疑問が出るのってコロナ禍ならではの疑問なんですよね。コロナ以前ってもう2年も前なんで、みんな忘れてしまったのかもしれませんんが、コロナ以前って仕事はオフィスに出勤してするものだったんですよ。IT企業、ネット企業であっても。イケてるネット企業は渋谷や六本木の最新鋭ビルにオフィスを構えていることを盛んに宣伝してましたし、そういう環境で働けることをITエンジニアも誇りに思っていたわけです。

コロナ以前はちょっとした打ち合わせであっても対面で行うのが当たり前でした。話を聞かせてよと言われてお客さんのところに出張していって商品説明したりするのも当たり前でした。地方のお客さんに挨拶周りで出張なんてのもありふれたことでした。今はこれらはテレビ会議で住んでしまいますけど、これたった2年で当たり前になったことなんですよね。

IT業界では確かに仕事の大半はオンラインで完結できます。でもコロナ以前は仕事は対面で行うのが当たり前だったので、人口が集中している東京にIT企業も集中していました。労働者側も、IT業界の仕事が東京に集中しているために東京に移住してきました。まさに私がそうで、もともとは地方出身なのですが、仕事があるために東京に移住してきて今も住んでいます。将来にどうするかはわかりませんが、状況が許すなら別の地域に移住も考えないでもないですけどね。

さて、これがコロナ以降でどう変わるかですね。一部の企業ではコロナ収束後は対面業務に戻す予定だそうです。まあ、経営者層の思考はそう簡単には変わらないですよね。では何もかもがコロナ以前に戻るかというと、そうとも限りません。コロナ禍の2年間で少なくない労働者がリモートワークを実際に体験したわけです。体験の力は強いですからね。ニュース記事や本で読んだだけのことよりも圧倒的にリアリティがあります。ああ、もちろんリモートワークがしたくても出来なかった人も多数居ますよ。業種、職種的に無理ってのもあるでしょうし、経営者や管理職が無理解で緊急事態宣言下でもオフィスに出勤を強いられていたって人もいるでしょう。そういう人を無視するわけではないんですが、ここではある程度のボリュームでリモートワークを体験した人が出現したよねって話がしたいだけなんです。こういう但し書きをしないと突っかかってくる人がいないとも限りませんので予防線です。こんな過疎サイトに突っかかってくる暇人もそうそういないとは思いますが。

話を戻しまして、ある程度のボリュームのリモートワーク体験層が登場したのがこの2年間でした。これらの人たちも、経営者から出社を強制されたらとりあえずはオフィスに戻るでしょう。でも、長い目で見ればそういう古い体質の会社を見限って、柔軟な働き方が出来る会社に転職していく人も出てくるんじゃないでしょうかね。そういう人が増えれば、古い考え方の経営者も考え方を変えざるをえないのではないかと思います。つまり、今後1年2年といった短期間では昭和や平成のように対面業務が復活するでしょうが、5年10年というスパンでみればリモートワークが普及するようになるのではないかと思うわけです。