主語を広げる人にご用心

2022/1/3作成

もう30年以上前のことですが、当時購読していた「Oh!FM」というコンピュータ雑誌の編集後記に書かれていたことが印象に残っています。

何が書かれていたかというと、「我々読者がという主語でご意見を頂戴しますが、その意見はあなた個人の意見ですよね」って話です。古い話ですし、その当時の文章を見ながらではないので詳細は違うでしょうが、文意としてはこんな感じだったかと思います。

こうして書き出してみると、当たり前の話ですよね。雑誌に掲載された記事や編集方針について思うところがあるので意見を寄せる。それ自体は別に構わないんですが、つい主語を自分自身ではなく読者全体に広げてしまう。ついやってしまう気持ちはわからないでもないんですが、読者の総意を確認したわけでもないのに読者全体を代弁するのは間違ってますよね。個人的にはこうした考え方に早いうちに触れることはできたのは良かったなと思ってます。まあ、だからって私という人間がどれほど上等になったかというと大したことはないんですけどね。それでも、この文章のおかげでちょっとくらいはマシになったのではないかと思います。

この主語を広げる人って、現代のネットでもたくさん見ますよね。ヤフコメとか「国民が」と主語を広げてるコメントが探すまでもないくらいたくさんあります。言うまでもなく、それはコメントした個人の意見なんですよね。たくさんのいいねが付いていたとしても、所詮はそのいいねを付けた人数しか賛同してない意見です。

これ、自分が話し手となるときに主語を選ぶときにも気を付けないといけないんですが、読み手であるときにも気を付けないといけない話なんですよね。特に匿名でなされたコメントは個人がぼんやりとしか提示されていないから、ついついネット全体の意見であると勘違いしてしまいそうになる。ハンドル名であっても署名されたコメントだと、ああこれはこの個人の意見なんだなとまだ思いやすいんですけどね。そういう意味では2ch(現5ch)などの匿名掲示板や、ヤフコメなどの署名をぼやかした場は危険だなぁと思います。読み手としてのリテラシーも大事。