天皇制を考える

2021/11/1作成

天皇制についてちょっと考えてみたいと思います。といっても別に天皇制を廃止せよって話ではなくてですね。そういう可能性も個人的には否定はしないのですが。

現在の天皇制というか皇族の最大の問題は、天皇になりうる男性皇族が3人しかいないことですよね。しかも3人のうち、今後お子さまが生まれる可能性があるのは悠仁様ただ一人。つまり、今後天皇制が継続していくかどうか、たったお一人の身に掛かっている。これは余りにも不自然な状態です。

今後、悠仁様が成人してご結婚されるとき、お相手の方は必ず男子を生まなければならない。出来れば複数。そんな状況が分かっていて結婚してもいいよと思える人って果たしているのでしょうか。また、もしもご結婚前にお相手の方が不妊症であるとわかったとしたら、果たしてその結婚は認められるのでしょうか。もしもご結婚後に不妊症であるとわかったら、離婚せよという世間の果てしないプレッシャーが起こるだろうなと思うと、もうやるせない気持ちになってしまうわけです。私なんかが思っても仕方ないんですが。

そういう問題があるところから出てきているのが女性天皇と女系天皇のお話です。このうち、女性天皇は比較的問題が少ないのではないかと思います。ガチガチの保守の人でも認めてくれそう。それはなんと言っても前例があるから。ほんと、前例の力ってスゴいですよね。それが何百年前のことであろうとも、どんなに希少な例であろうとも、とにかく前例があればそれで納得されてしまう。個人的には前例にこだわるのはくだらないなと思うんですが、多くの人を納得させる力が前例にはあるなと思います。

ただ、女性天皇は前例自体もそうですが、あくまでもリリーフでしかありません。女性天皇のお子さまが将来天皇になれない、つまり女系天皇を認めないのであれば、女性天皇を認めたところで、将来の皇族が途絶えてしまうリスクは回避できません。

これは根本的には一組の夫婦から必ずしも男子が生まれるとは限らないというところに問題があります。その夫婦が天皇陛下と皇后陛下であったとしてもですね。そんなことは誰しも分かっているわけですから、リスク回避の方法として、側室と宮家という制度があります。このうち、側室は現代の日本では導入は難しいでしょうね。天皇は統治するわけではありませんが、象徴ではあります。その天皇が側室をもっていたら、国民が象徴として仰ぐのは難しいんじゃないかと思います。

一方の宮家は現在も存在します。戦後、宮家が大整理されましたが、その時点ではまだ宮家は多く存在していましたし、それぞれ男性皇族がいらっしゃいました。大正天皇が男子を4人、昭和天皇が男子を2人もうけられましたので、この時点では今後数世代に渡って皇族は安泰だろうと誰もが予想したでしょう。しかし、現実にはわずか2世代で皇族は存続の危機におちいってしまったわけです。

現在の皇族を安定的に継続させるには女系皇族を認めなければなりません。しかし、おそらくこれは非常に難しい。個人的には女系皇族、女系天皇も別にいいかなと思わなくもないのですが、多くの国民が納得するかというと、多分しないだろうなと思います。

残る手段は、戦後に臣籍降下された宮家の子孫を皇族に復帰させることかなぁと思います。というか、それしか方法を思いつかない。具体的には現在女性皇族のみになっている宮家に、元宮家の子孫の男性を養子として迎え入れるというところですかね。ただ、一般人として生まれ育った方が将来天皇になるというのには違和感がありますから、皇籍復帰された方は皇位継承権の対象からは外した方が妥当だと思います。その宮家に今後お生まれになった親王様から皇位継承権を得ることができるという感じですね。

以上が私なりに考えた皇統問題に対する解決案ですが、実際にはこの旧皇族の方を宮家の養子に迎えるのも実現は難しいのかなぁという気がします。今後、悠仁様に男子がお生まれになればそれで問題は先送りに。男子がお生まれにならないことが確定した段階、つまりお后様が50歳くらいになった段階で、はじめてこの議論が進むのかなという気がします。現在悠仁様が15歳ですから、お后様が同年代として35年後の話ですかね。

皇族についてもう一つ。これを書いている2021年秋の時点において、内親王様のご結婚相手が非常に大きな話題になっています。皇族のご結婚相手としてふさわしくないと。私自身はゴシップに興味ないので、実際にふさわしいかどうかは知りません。ただまあ、これまで他の皇族のご結婚時にこんな騒ぎになったことは記憶にありませんので、ふさわしいかどうかが事実かどうかはともかく、国民の一部に納得してない人がいるのは間違いないでしょうね。元の情報はもしかしたら週刊誌がでっちあげたデマかもしれませんが、現在納得してない国民がいるのは間違いないでしょう。

個人的には結婚は当人同士の問題なんで、問題のある相手であろうがなんだろうが好きにすればいいとは思います。今の日本において天皇は国の象徴ですし、皇族もそれに準ずる方々ですから、あまりにも国民から支持されないというのはどうかなとは思うんですが、一方でこれは譲位と絡めると非常にやっかいな問題になるのではないかなと思うんです。

明治以来、生前退位は行われないことになっていたわけですが、上皇陛下は一代限りの特例ということで譲位されました。それ自体は非常にわかるんですよ。高齢になって体力も衰え公務に差し支えるのであれば引退したい。むしろ世間ではそれが当たり前で、いつまでも地位にしがみついている人は老害として蔑まれたりもします。ただ、天皇についてはちょっと分けて考えたい。というのは、譲位が可能になると、時の権力者が意に沿わない天皇に譲位を迫ることが出来てしまう。皇族が国民の支持を得なければならないというのは、譲位を迫るときの理由に使われかねないんですね。実際、そうしたことが歴史上にあったからこそ、明治期に譲位不可とする規定が出来たわけですよね。上でも書きましたが、前例の力は強いです。いくら一代限りと明記したところで、譲位したという前例が出来たおかげで、おそらく今後も譲位は行われてしまうでしょう。その時に、天皇陛下自身の意思で行われているのならいいですが、そこに他者の意思が入り込んでいたらと思うと恐ろしいわけです。

ということで、個人的には譲位には反対で摂政を置くべきだったと思いましたし、内親王は国民の支持の得られなくても自由に結婚すればいいと思います。今の日本の天皇は象徴性ですから、国民の支持からあまりにもかけ離れているのは問題ですが、一方で国民の支持にあまりにも寄りすぎると、今度は天皇の権威が高まりすぎてしまって、それを政治利用するという動きを呼び覚ましてしまうことが怖いです。