説得できないにもいろんなレベルがある話

2019/2/18作成

最近twitterで見かけた意見に「どれだけ論理で説明しても絶対に説得できない人がいるってことを医学の初等教育で教えておくべきだ」というのがありました。 そのツイートを参照したかったのですが、再びみつけることができませんでした。 ということで、ここでは記憶に基づいての説明になります。

医学教育について言及していることから、おそらく元ツイートは反ワクチン派のママさんとその説得に疲れた医者についてのことだと思われます。 ここでは反ワクチンについて細かい説明は省きます。

ともあれ、医療の現場において反ワクチンのママさんに疲弊しているお医者さんというのは多分それなりに居るんだと思います。 また、反ワクチンのママさんが子供に対しても、社会に対しても有害であるということも説明するまでもありません。 でも、現実として反ワクチンのママさんをいくら論理を尽くしてお医者さんが説明しても、説得することができません。 そういう反ワクチンのママさんが居るんだということですね。 論理に基づいた医学を学んできたお医者さんにとっては特に論理が通じない相手というのは信じがたいものだろうということも想像に難くありません。

さて、ここからがようやく本題です。元ツイートはtwitterの短いツイートの中でまとめる必要があることから、人を論理で説得できる・出来ないの2値に分類しています。 しかし、現実にはその間には無限に近いグラデーションがあるんだと思うんですね。 多分、元ツイートした人だってそんなことは分かったうえで、あえて問題を単純化してツイートされたんだとは思いますが。

論理を説明したら、一発で理解して納得してくれる人。これ多分1万人に一人レベルの天才だと思います。 だって、説明して納得するということは、その論理を理解するだけではなく、それまで自分が持っていた価値観や常識も全部ひっくるめて否定して考え方を変えるってことですから。 そこまで柔軟で謙虚な人ってのは、それだけで非常に希少な存在だと思うんですね。

一方、論理をどれだけ尽くしても絶対に納得しない人。これは先ほどの天才と対極になるわけですが、1万人に一人よりはずっと数が多そう。 千人に一人か、へたしたら百人に一人くらい? ちょっとげんなりしてしまう話ですが。

そして残りの人はグラデーションの中に存在するわけです。 論理を説明しても一発では納得しない。 でも、何度も説明すればだんだんわかってくれる。 その何度もが少なくて済む人も、数多くかかる人もいる。 そんな感じ。

論理で説得できない例として、身近なところでは「うちの上司は提案しても全然採用してくれない。頭が固くてあいつはダメだ」っていうよくあるサラリーマンの愚痴でしょうか。 ただ、その提案ってどれくらいの濃度で行われたのだろうか。 会議の席上で、ぽっと一言しゃべっただけだったりしないだろうか。 その一言で一瞬で提案を採用するとしたら、その上司は抜群にできる上司ですよね。 でも実際には上司だって人間だから、平均的な上司もいればダメな上司もいる。 ダメな上司はともかく、平均的な上司だったら、何度も手を変え品を変えして説明してたら、いつかは納得してくれたりするんじゃないかん。

とまあ、そんなことを考えたんです。 当たり前の話ですが「上司が分かってくれない」と愚痴を言ってるのは私でして、ほんの少し提案しただけで採用されなかったからと愚痴ってるようではだめだなぁとおもったので、それを記すためにこの記事を書きました。