正規雇用と非正規雇用の格差は仕方がないのではないだろうか

2009/12/10作成

昔、と言ってもそれほど前のことではないけれど、お茶くみとコピーしかしないOLという職種がありましたよね。彼女達はその程度の仕事しかしないけど正社員でした。ま、正社員と言っても終身雇用で定年まで働くわけではなくて、5年くらいで寿退社したわけですけれど。それでもなかにはお局化して居残る人も居たわけですが、そういった人を雇用し続けるくらいの余力が企業にはあったわけです。

別の例を挙げれば、工場でネジ締め一筋40年なんて人も正社員だったわけです。そういう人をバカにするわけではないんですが、それでもまあ比較的単純な労働内容であることには違いないと思います。

今、そういった職種の人たちが派遣社員だったりとか契約社員だったりとかといった非正規雇用に切り替わっているわけですね。で、それが社会問題化しているわけですが、この流れ自体は変えようがないんじゃないかなと思うんですよ。

正社員として雇ってしまうと終身雇用しなければいけないという原則は今も変わっていません。しかし、OLとか単純工まで終身雇用する余裕は企業にはないから、そういった要員は非正規雇用でまかなうようになったと。

別の言い方をすれば、正社員ってのはそれだけでエリートなんですよ。国家公務員で言うところのキャリアみたいなもんで、幹部候補生なんですよ。幹部候補生はそんなにたくさん要りませんから、正社員も当然に数を絞るわけです。正社員は終身雇用が約束される代わりに、幹部候補生としてモーレツに働かないといけないんです。キャリアも相当に働いているそうですからね。

一方、仕事の現場にはそういった幹部候補生としての正社員がこなすべき複雑な仕事以外に、単純作業的なものもたくさんある。そういったものをこなすアシスタント的な位置づけの人が必要ということで、それが今は非正規雇用の人たちでまかなわれているわけですね。

今、非正規雇用をやめて正規雇用に切り替えるようにという意見が出てますが、もし仮に法律などでそういう規制がかかるようになったら、企業はこれまで非正規雇用していた人たちを正規雇用になんて切り替えないと思います。だって正規雇用にしたら終身雇用しなきゃいけないわけですから。幹部候補以外の人を終身雇用する余裕は企業にはありません。急がしい時には人を集めて、暇なときには最小限の人で仕事を回すようになっているんです。だから、もし非正規雇用を制限する規制が実施されたら、正規雇用の人をもっとこき使うようになって、これまで非正規雇用だった人たちは職からあぶれるという、誰も幸せにならない状態になってしまうと思います。

職場にはアシスタント的なスタッフも必要。そういった人は非正規雇用で雇用の調整弁として働くというのは仕方のないことなんじゃないかと思うんです。当然、そこには収入格差も生まれますが、それも仕方がないんじゃないかなと。そこで是正すべきなのは雇用体制ではなくて、正社員は激務にならないように多少の余裕を持てるようにすることと、非正規雇用の人はいつでも望むときに職につけるように雇用の流動性を高めることではないかなぁと思います。