「コンビニ ファミレス 回転寿司」中村 靖彦

2007/1/12作成

昔ながらの母親の手作り料理をベストとする視点からの、工業的食糧事情の批判本かと思ったけど、後半はそうでもないな。それに母親手作り料理も食育の視点から語られると弱いな。納得してしまうぞ。ただ、やはり筆者である中村靖彦氏の感情としては母親の手作り料理、料理人による手間の掛かった料理を最上とする感覚は行間から見て取れる。感情として分からなくはないけれど、現実問題として現代社会においては食は工業生産されざるを得なくなるわけだし、そこには個々人の嗜好や体調を料理人が配慮するという仕組みを持ち込むことは不可能である。それでも個々人に合わせた食が必要であるならば、料理人以外の新しい仕組みを導入すべきだろうと思う。

なるほどなと参考になったのは、一旦生産された食料も飼料になることでそのまま食料とするのに比べるとカロリー効率が非常に悪くなること。単純に言えば人類が肉ではなくトウモロコシを食べるようにすれば食糧問題は解決するわけだ。もちろんそんなことは出来ないんだけど、考え方のヒントとしては面白い。