新築マンションにご用心

2012/3/6作成

新築マンションにご用心と言っても、手抜き建築とかそういう話ではないです。どっちかというと些細な話ではあるんですが、引っかからないに越したことはないと思うのでご披露します。ちなみに、我が家が引っかかった話です。悪徳、とまではいかないけどちょっとたちの悪い業者の話です。

注意が必要なのは新築マンションの竣工・引渡しのタイミングです。中古マンションでは注意は必要ないのかというと、多分必要ありません。その理由は後述します。

さて、マンションが竣工して引渡しされます。いよいよ、憧れ(?)のマンションオーナーです。モデルハウスに通い、購入を決意し、ローン審査を通って、ようやく手に入れたマイホーム。人生においてこんなに大きな買物をすることというのはそれほどありませんから、多少心が舞い上がってしまっても仕方がありませんよね。というか、舞い上がるのがむしろ当然といったところでしょう。ところが、世の中にはその舞い上がったタイミングを狙う悪いやつらがいるのです。

新築マンションの場合、引渡しは基本的に全戸一斉です。住人は、これから何年間か同じマンションに住まう同士ですが、この時点ではまだ顔見知りではないことが普通でしょう。ですので、マンションに出入りしている人がいても、それが住人なのか、外部の人なのか、顔を見ても判断が付きません。加えて、この時期にはオプション工事の業者や引越し業者なども多数出入りしています。ますます、誰が誰なのかさっぱりわかりません。更に悪いことに、こうして多数の人間が出入りするのですから、オートロックのマンションであっても、この時期だけはロックを解除していることもあります。

これがどういう状態かというと、そのマンションに全く関係のない人間でも、怪しまれることなく、自由に出入りできるということなのです。そして、この隙を突いて悪徳業者が入り込んでくるわけです。

大きな買物をして舞い上がって油断している。誰でも自由に出入りできる状態である。このような状況は、悪徳業者にしてみればまさに鴨がネギを背負っているようなものですね。しかも、いっせいに入居ですから、鴨が大量にいるわけです。悪徳業者はこのような状況を狙って、新築マンションに入り込んできます。ここから先は、うちにきた業者の例をあげて説明します。

悪徳業者は、まずは低姿勢です。「このたびはご入居おめでとうございます」とかの挨拶から入ってきますから、こちらとしては別に拒む理由はありません。とりあえず「どういたしまして」とか返します。

次に悪徳業者は「屋内の設備についてご説明に回らせていただいております」と言います。そういわれたら、これは分譲業者か管理会社の関係者かなと、こちらは思ってしまいます。普通に暮している時にいきなりインターホンを鳴らしてそんなことを言われても怪しむでしょうが、なんせ舞い上がっている上に、本当の管理会社の人なども多数出入りしている状況ですから、疑う余地は少なくなります。

「はあ、ではお願いします」と部屋に招き入れると、あとは悪徳業者の思う壺。簡単に換気扇だとかの説明をしたあとに、「台所のタイルの目地にカビが生えるのをおさえるコーティングのサービスをしていますがいかがですか」ときます。悪徳業者ですから、お金の話は先にしません。まるで無料のサービスのように話を持ちかけます。もちろん、無料であるとは決して口にしませんけどね。あくまでも、こちらが勝手に誤解したというようになるような話し方をするわけです。サービスならということでお願いすると、次に「今ですと、フローリングのコーティングもセットで行っていますがいかがですか」ときます。

ここらで「あ、ただじゃないんだ」ということに気が付きますが、既に「お願いします」と言ってしまってますから、いわば仮契約が成立した状態。今さら要りませんとは言い出しにくいわけです。もちろん、言っても構わないのですが。しかし、引っ込みがつかないし、どうせならということでお願いすると、書類を出してきて名前などを書かされます。そして最後にお金の話がでてくるわけですが、これが結構な高額なわけです。当然ですね、悪徳業者ですから。ただ、高額といってもめちゃめちゃ高額でもない。ちょっと高いけど、払えなくはないくらいの金額。まあ、向こうもそういうラインを狙ってやっているわけですが。そして、繰り返しになりますが、人生に何度もない高額な買物をして舞い上がっている状態ですから、その高額なサービスも「まあいいか」になってしまうわけです。こうして鴨のいっちょうあがりとなったわけです。

ちなみにフローリングのコーティングサービス。本当の管理会社もやってまして、そちらに頼むと数分の一の金額で出来ます。今にして思えば高くついたなぁと感じますが、その時はなんせ舞い上がってますから、まあいいかですませてしまったんですよねぇ。ああ、危険危険。

ということで、我が家の失敗談をお話しまして、これを読んだ皆様には是非同じ手には引っかからないようにお気をつけ下さいというのが言いたいことでございます。ご用心ください。

なお、新築マンションに限っての話としましたが、それはなぜかというと、既に書いたとおり新築マンションでは引渡しが一斉で住民・業者が多数出入りしてオートロックも開け放しというタイミングが存在することに加えまして、引渡しの時期がいつかというのが住宅情報誌などを見るだけで誰でも知りえるということにもあります。中古マンションの引渡しがいつになるかなんて、取引に立ち会っている不動産屋さんでもない限りわかりませんからね。ということで、悪徳業者は不動産情報誌を眺めながら、今日も竣工・引渡しのマンションを狙って徘徊していることと思われますので、ご注意ください。