新築マンションの管理

2003/6/9作成

「マンションは管理を買え」とはよく言われる言葉です。実際、どんな立派なマンションでも管理が悪ければスラム化しますし、立地や設備が悪くても管理がいいマンションは欠点を補うような管理活動が出来て住みよくなると思います。しかし、その良い管理と言うのは実際に居住が始まって管理組合活動が始まってから決まることで、新築マンションの場合は管理の良し悪しは不明です。もの凄くやる気のある人は、どんな困難にも立ち向かって自分で良い管理を実現するという方法が取れるでしょうが、大多数の人はそこまでの労力も能力も無いでしょう。(個々人が良い管理を実現するためにできる範囲で努力するのは大切ですが)。では新築マンションでは良い管理をどうやって見分ければいいのか。私なりに調べたり考えた、新築マンションで管理の良し悪しをある程度判断する項目を挙げてみました。この項目が絶対と言うわけではありませんので、その点は差し引いてご覧ください。

住戸タイプが統一されていること
管理組合は区分所有者の集まりです。そこではできるだけ近い考え方の人が集まっていた方が、意思決定がスムーズに行くでしょう。個々人の考え方そのものはいろいろあっても、家庭環境や経済状況は近しい方が、考え方も近くなる可能性が高いです。その為には、ファミリー向けから単身者向けまで多数の住戸タイプを取り揃えているよりは、似たような住戸タイプのみである方が望ましいと思います。
駐輪場、駐車場が充分に用意されていること
「マンションは管理を買え」の言葉に必ず続いているのが「管理の良し悪しは駐輪場とゴミ捨て場のマナーを見ろ」となっています。駐輪場とゴミ出しだけで管理の良し悪しは判断するのもどうかと思いますが、多くの管理組合で問題になっているのが駐輪場、駐車場の問題でもあるようです。ここで注意しなければいけないのは、住戸に対して何%の駐輪上、駐車場があれば十分とは一概に言えないこと。都心の駅近マンションなら自家用車を所有する人は少ないでしょうから駐車場は少なくても構わないでしょうが、郊外のマンションなら100%でも足りないでしょう。丘の上のマンションなら自転車に乗る人は少ないと思いますし、ファミリータイプなら子供の数だけ自転車が存在します。
ペット飼育可であること
マンションでペットを飼うことの是非はとりあえず置いておきます。ちなみにペット飼育不可のマンションでペットを飼うと、法律的にどうあがいても勝てません。実際、最高裁でもペット禁止のマンションでペットを飼う方が悪いという判例が出ています。しかし、どんなに禁止されていても、必ずマンションでペットを飼う人は居ます。そうした時の管理組合の紛糾を考えると、最初からペット飼育が許可されているマンションの方が、もめる確率が低くて良いと思います。ペットアレルギーなどでどうしてもペット不可のマンションに住みたい人にとっては理不尽だと思いますが、それが現実でしょう。
非分譲住戸がたくさん無いこと
元々土地を持っていた人が土地を売却せずに、出来上がったマンションのいくつかの部屋を等価交換で貰うという方法があります。管理組合での投票権は基本的に1戸1票(厳密には所有比率なんですが、実際には1戸1票で運用される事が多い)ですから、こうした元地主は他の住人に対して大きな発言権を持っていることになります。極端な話、半分以上の住戸を持っている元地主が居た場合は、その管理組合は元地主の独裁になってしまいます。元地主が必ずしも悪い管理をするとは限りませんが、良い管理をするとも限りません。全ては元地主の人柄に掛かってきてしまい、それはリスクが大きいと思います。
管理費、修繕積立金が極端に安く設定されていないこと
分譲会社がマンションを売りやすくするために、管理費や修繕積立金が安く設定されるのは今では当たり前になっています。分譲会社の言い分としては、分譲後の管理は管理組合が行うのだから、管理費や修繕積立金が安いと思うなら管理組合で値上げすればいいという事なのでしょうが、値上げしますといってそう簡単に管理組合で賛成が得られるとは思えません。多少安いくらいなら現状では仕方がありませんが、極端に安すぎると将来の管理組合の財政が破綻しかねませんので注意が必要です。管理費や修繕積立金が適切に設定されて分譲されるようになるのが一番いいのですが。
1階部分店舗が無いこと
郊外の大規模マンションなどで、マンション敷地から出るのだけでも一苦労なんてところだと、敷地内に店舗が入っていても仕方がないかもしれませんが、都心のマンションで1階部分だけ店舗になっていても、住民にとっては大した利便性はないでしょう。それに対してデメリットは、最初に挙げた「住戸タイプが統一されていること」に反します。店舗として所有する区分所有者と住戸として所有する区分所有者にとって利益が一致するとは限りませんから、もめる原因になりかねません。
共用設備が充実しすぎていないこと
特に大規模マンションやタワーマンションなどでスポーツジムやキッズルームなど共用設備の充実をうたったマンションがあります。中には最上階温泉付きなんてのもあります。これらの共用設備は1戸だけではコストが掛かってとても所有できない設備をマンションの共有とすることによって実現するものですから、そのことだけを取ってみれば生活の利便性を向上させて良いことになります。しかし、ある特定の共用設備が全ての住民にとって必要なものであるとは限りません。この場合住民と言うのは10年20年先の自分自身にも当てはまります。小さい子供の居る世帯にとってキッズルームは便利でしょうが、子供が成長すれば無用の長物です。自分が使わない設備の管理費も喜んで負担する住民ばかりだといいでしょうが、そうは考えない人が居ないとは限りません。個人的には、マンションに住戸として必要な設備(エレベータとか集合ポストとか)以外の共有設備は無いほうが望ましいんじゃないかと思います。あくまでも住まう為の施設なんですから、住まいとは関係の無い設備で客寄せを行っていると言えそうな最近のマンション業界の風潮は疑問に思えます。
戸数が極端に多くも少なくないこと
戸数が少ないと、ほんの一部の区分所有者が管理費や修繕積立金を滞納しただけで、予算執行に大きな影響が出てきます。もちろん滞納はあってはならない事ですが、人間が集まっているところいろんな人が出てきますから、ある程度避けられない問題ではあります。戸数が多いところでは、滞納による影響は相対的に低く出来るのですが、今度は人数が多すぎてコミュニケーションがとり切れず、管理組合の運営が難しくなります。複数棟からなるマンションだと、特定の棟で修繕が必要になった場合に他の棟の住民の賛同が得にくいなんて事も起こりそうです。もちろんそんな反対意見は管理組合としては合理的では無いのですが、そこまで区分所有法を理解出来ない区分所有者も居ないとも限りません。ちなみに戸数が少ないとコミュニケーションは取りやすくなるとは思います。個人的には両方のメリットデメリットが相殺される100戸程度が分譲マンションとして適性規模なのではないかと思います。

(2004/5/20追記)

ペットについて
ペット可が望ましいと書きましたが、実際にはペットの買い方にも千差万別があるようでして。例えば1匹しか飼えない規則なのに2匹以上買う人が出たり、小形動物のみ可なのに大型犬を飼う人がいたり。鳴き声による騒音や、抜け毛や臭いの問題もあるでしょうね。結局、ペット可であろうがなかろうが、そのマンションの規則をみんなが守るか、また管理組合が守らせる事ができるかどうか、という問題に帰結してしまうのではないかと思います。

あおやぎのさいと2.0 マンション談義