駐車場利用料ゼロ円のマンションはお得か

2006/6/22作成

マンションの折り込みチラシを見ていると、たまに「駐車場利用料無料」をうたったマンションを見かけます。ものの値段は安いに越したことはないのですが、なかには「ただより高いものは無い」というものもあります。そして、マンションの駐車場利用料については後者である可能性が非常に高いです。

マンションの駐車場利用料が無料になって一番最初に影響を受けるのは管理組合会計です。多くのマンションにおいて駐車場利用料は大きな収入源ですから、それがゼロということは、その分管理費か修繕積立金が高くしなければなりません。もしこれらの費用が他のマンション並みであったとしたら、管理費会計が赤字運営になることを見込まれているか、高額の大規模修繕工事時の一時金が予定されているかです。そのいずれでもないとしたら、管理仕様が削られているかですね。いずれにしても、入ってくるお金が少なくなっているわけですから、どこかに必ずしわ寄せがきます。

通常の月極駐車場の場合、大家と店子は別々の人です。駐車場利用料がゼロ円だと店子は得しますが、大家は損です。しかし、マンションの駐車場の場合は大家も店子も区分所有者自身なんです。駐車場利用料がゼロ円だと店子の立場としては得ですが、大家としての立場では損です。

とはいえ各戸の負担の問題はまだ軽いです。結局は、駐車場利用料という名目が他の名目に変わって区分所有者から徴収されるわけですから。問題はその負担に駐車場を利用する区分所有者と利用しない区分所有者で不公平が出ることではないかと思います。つまり、駐車場を利用する区分所有者は割安にマンションの共有部分を利用できる事になるわけです。そして、この不公平は区分所有者の間に感情的な溝を作って、管理組合運営に支障をきたす可能性も考えられます。もちろん何もかも完全に負担を公平にする事はできませんが、わざわざ不公平を助長する必要はありません。

また、駐車場利用の効率化を妨げる可能性もあります。利用料がゼロ円ですと、たとえ車に乗らなくなったとしても、駐車場を返さない人も出てくるでしょう。すると、駐車場の利用待ちの区分所有者はいつまで経っても駐車場が利用できません。これは全戸分の駐車場が確保されていても変わりません。一住戸で2台分以上の駐車場を利用したい場合もあるからです。

自分が車を利用しなくなったら、自分の分の駐車場を又貸しして小遣い稼ぎをする人も現れるかもしれません。いくら規約で禁止したところで、知人などにこっそり又貸しされたら、まず分かりません。これを防ぐには毎年車検証の写しを提出させて、管理人がナンバーを照合するしかないですね。また、この場合はマンション外の人間が常時マンション内に立ち入るようになるという事で、治安の問題もあります。

結局、マンションの駐車場利用料がゼロ円というのは、管理上に様々な問題を引き起こす可能性が高いと思います。少なくとも私がマンションを選ぶときには、そういう物件は避けるようにするでしょう。唯一問題が無いと考えられるのは郊外などで土地代がタダ同然に安くて住戸の数倍くらいの駐車場が確保されている場合でしょうか。でも、そんな土地柄では土地の利用効率を上げるための建物であるマンションは建築されないでしょう。

ここで挙げた問題は、駐車場利用料がゼロ円の場合に限りません。有料であっても、周辺の月極駐車場の利用相場に比べて割安な場合には同様な問題が発生する可能性があります。また、周辺相場と同程度の利用料だったとしても、駐車場を利用する区分所有者と利用しない区分所有者の間での不公平感は払拭されるわけではありません。これはマンション内の共用部分に駐車場がある限り解決されないと思います。いっその事、駐車場も個々に分譲してしまうか、マンション内には駐車場を設けず隣接する土地にマンション住民のみが利用可能な月極駐車場を分譲業者が設置するしか方法がないのかもしれません。前者は既存のマンションでは登記変更などで莫大な手間がかかりますが、後者は比較的簡単に実現出来ます。マンションの駐車場をまとめて分譲会社(管理会社でも可)に貸し出し、分譲会社がそこで月極駐車場を運営するというわけです。

最近はあまり聞きませんが、少し前までは古くからある団地で周辺の道路が違法駐車の車で埋め尽くされて社会問題になっていました。マンションにとって、駐車場というのは根の深い問題なのだと思います。


あおやぎのさいと2.0 マンション談義