「東大式マラソン最速メソッド」松本 翔

2015/2/2作成

たまたま立ち寄った本屋で見かけて面白そうだったので買ってみた本。読んでみたら実際に面白かった。

筆者は市民ランナーではありますが、サブテンを目指すかなりのエリートランナーです。あの川内優輝さんの練習パートナーでもあったりするそうなので、一般的な市民ランナーとはとても言えないかもしれません。

実際、本に書かれている練習メニューはかなりハイレベルかつハードなもので、その点をもってamazonで「初心者向けの本ではない」というレビューもついてたりするんですが、その読み方だと本書の半分も読めてないと私は思います。

確かに練習メニューは筆者の行っているハードなものです。初心者ランナーが真似したら故障するどころか真似することすら困難でしょう。でも本書のテーマはそんなところにあるわけではありません。自分にとってどのような練習が必要であるか。今行っている練習はどのような目的で、どのような効果を狙っているのか。今の自分にとって最適な練習メニューは何かを「自分で」考えるというのが本書に書かれていることだ。だから、練習メニューだけを読んで自分には合ってないというのでは、本書を読んだことにならないと思う。

たとえば月間300km走るという練習メニューを作ったとします。順調にメニューを消化して、月末最後の日にあと10km走ったら300kmに達するんだけど、あいにく風邪をひいてしまったとする。練習メニュー至上主義であれば、風邪であろうがなんだろうが10km走って目標達成することでしょう。でも、そんな状態で10km走ることが、どのような練習効果をもたらすのか。風邪を悪化させてその後に悪影響を与えるとすると、月間目標を達成できなかっとしても、その日は走らないという決断を下すべきではないのか。たとえて言うならばそういうことが書いてあるのが本書だと思います。

筆者は、筋トレやLSDを否定していたりもします。曰く、すでに体の出来上がっているシリアスランナーにとっては不要な練習であると。それは、逆に言えば体の出来上がっていない初心者ランナーにとっては筋トレやLSDは有効かもしれないということでもある。けれども、筆者のような速いランナーが筋トレやLSDをしていないのだからどんなランナーも一切やらなくていい、というのは練習の意味も効果も考えてないということではないでしょうか。

ランナーにとって練習とはレースで結果を出すためのものです。練習をするのが目的ではありません。ならば練習はレースで結果を出すことにつながることだけを集中して行うのがよいのではないか。ということが本書で言いたいことだと思います。

ただ、勘違いしてはいけないのは結果はレースタイムに限らないということです。筆者や川内選手のようなオリンピックを目指すシリアスランナーにとってはレース結果が全てなのは確かです。でも大多数の市民ランナーにとってはレース結果が全てではありません。趣味として走ること自体が楽しいのであれば、レース結果なんてどうでもいいことになります。成人病予防でダイエットの為に走っているのであれば、健康診断の結果や体重が結果になるでしょう。そういった目的が達成されるためにもっとも適切な練習とは何か。更に言えば自分は何のために走っているのか。そういったことも考えるというのが大切ということではないでしょうか。


あおやぎのさいと2.0 ホノルルへの道