起業に最適な人数は何人?

2014/2/12作成

起業を3人チームで始めることのいいところ

起業するのに何人でするのがいいかというのは、起業家の間では常にテーマにあがる話題です。結局正解は無いので、その起業にあった人数で起業するのがいいとしかいいようがないのですが、個人的な知見としては一人で起業するのがベストだと考えています。上記のブログの意見とは合致しないところがあるので、少し書き記しておきます。

起業を一人ですることのメリットは意思決定の速度です。発想から決断まで、自分の脳内で完結しますから1秒で終了することも可能です。二人以上居れば、説明と相談というステップを経なければならないため、どうしても時間が掛かります。全ての企業において意思決定の速度は重要ですが、スタートアップにおいては特に重要です。経営においても正解はありませんので、とにかく決めて実行に移さないと何も起こりません。失敗すれば修正すればいいのです。絶対の正解を求めて延々と議論をしていたら、何もかも手遅れになるでしょう。

二人で起業した場合、説明と相談のステップを踏むだけではなく、意見が対立する場合があります。立場が対等だと、お互いに引かないことになっていつまでも議論を続けてしまう可能性があります。上記のブログでは人数を奇数にすることによって多数決に持ち込んでいるとのことですので、それは一つの方法だと思います。

二人以上で起業した場合、人間関係が発生することも問題です。どんなに信用できると思った人でも、窮地に陥ったとき、特に大きなお金が絡んだときは、やはり人は変わるものです。事業が失敗して友情も壊れたという話は古今東西数え切れないくらいあります。そういう意味では、上記のブログの方はよほどよい共同創業者に恵まれたのか、よほど事業が順調なのかのどちらかではないかと思います。

経営者は孤独です。代表取締役の責任は重大で、その重圧はどんなに近しい人間にも理解できるものではありません。そこの重圧を共同創業者に分担してもらうというのは一つの方法かもしれませんが、共同創業にはやはりリスクが伴います。厳しい考え方ですが、個人的には経営者の孤独と重圧に耐えられない人は起業しないほうがいいように思います。

なお、上記のブログではチームで起業とだけしか書いてありませんので、三人のスタッフの立場の違いが分かりません。対等の立場ではなく、ブログ主の方が唯一の経営者であって、他の方はチームのスタッフであるというのであれば、それはそれでありではないかと思います。

(2016/12/14追記)

意外とこの記事が検索されて読まれているようなので、少し補足というか追記してみます。上記では自分の考えだけを書きましたので、もうちょっと一般論というか、論点整理をしたいと思います。

整理しておかないといけないのは、起業に関わるポジションです。ポジションと言っても営業とか開発とかそういうのではありません。経営に関わる位置づけのことです。具体的には、出資者・経営者・労働者の三つに分かれます。

出資者とは、株式会社なら株主のことです。本当の意味での会社の所有者は株主です。社長だCEOだと言っていても、株主に嫌われて一夜で解任されて放り出されるということは、絵空事ではありません。経営者は労働法の適用をうけませんから、解雇予告期間などもありません。

次は経営者。日常的に経営判断を下し、執行する人のことです。法律的には取締役が相当します。最後が労働者。経営には関与せず、業務の実務を行う人です。これらのポジションの組み合わせ別に、起業チームのパターンを見てみましょう。

一番シンプルなのは、出資者も経営者も労働者も全て一人で行うものです。それは起業ではなくてフリーランスではないかというツッコミもありえますが、ITの進歩により起業に必要なリソースは随分と少なくなりました。一人っきりで行っていても社会的にインパクトのある事業というのはいくらでもあります。一人っきりの場合、経営において揉め事は一切発生しません。揉め事とは人と人との間で発生することですからね。もちろん取引先との間に揉め事が起こる可能性はあります。ですので「経営においては」と但し書きをしたわけです。

次にあるのは、出資者と経営者は一人で行っているけど、労働者を雇用している場合。この場合はチームですが、経営にタッチするのは一人ですから、ここでも経営に関する揉め事は発生しません。

だんだんややこしくなってくるのは、出資者や経営者に複数の人間が関わってくる場合。この場合は当然に経営に揉め事が発生するようになります。問題は揉め事が起こったときに、どうやって解決するか。友達と起業するときに「俺とあいつで差が付くのはおかしい」と言って出資も折半、経営者としても同格としていると、意見が対立したときに延々と解決しない可能性があります。対等な状態で無理矢理どちらかの意見を採択すると、遺恨が残る可能性もあります。友情は別として、出資か経営権で差をつけておくと、そちらの意見を押し通すことが出来るでしょう。

経営において正解というのはありません。しかし、不正解はあります。それはいつまで経っても決定しないことです。起業ということは、事業はまだ軌道に乗っていません。軌道に乗るまで、ひたすら試行錯誤、トライアンドエラーを繰り返さないといけません。今時はそれをピポットと呼んだりもします。起業から軌道に乗るまでは、朝令暮改も当たり前でないといけないのです。決断のスピードが速ければそれだけ試行錯誤の回数が増え、その分軌道に乗るまでの期間が短くなることが期待されます。言ってしまえば、起業とは資金が尽きるまでに軌道に乗せらるかのチキンレースということです。それが起業において決断のスピードが重要な理由です。

チームで起業していても、出資や経営権を偏らせることで最終決定を一人に集中させていれば、迷った場合もその一人が決断すればそれに従うというルールに出来ます。失敗しても、決めたのはあいつだし、出資しているのもあいつだしということで他のメンバーも納得することが期待できます。それを一番シンプルに実現できるのが、出資と経営を一人に限るスタイルの起業ではないかと考えます。

(2017/4/9追記)

私なんかがごちゃごちゃ言うより、よっぽど本質を突いた記事をみかけたので紹介します。起業失敗の話。起業を志す皆さんに敗残者からお伝えしたいことです。本当の意味で起業の地獄を見てきたであろう人の言葉は重いです。これから起業しようという方は、特に仲間を集めて起業しようという方は、この記事を何百回何千回と読み返すことを強くお勧めします。ナニワ金融道とかを読むのもお勧めです。ナニワ金融道は「お金についての学習漫画」ですので。

上記の記事を要約すると、お金が関わると人は裏切るよってことです。起業家の務めとは、その裏切りをいかに防ぐかに尽きるということです。「いや、私は人を信じる」って言う人もいると思います。それは個々人の信念ですが、現実は「人が裏切る」だと思います。最初はみんないい人でも書きましたが、どんな悪人だって利害関係が無い人に対してまで全力で殴りかかったりはしないんですよ。そこまで暇じゃないですから。だから悪人でも意外といい人だよって思えたりするんですよ。でも、利害関係があれば、自分の利益を優先するんですよ。誰だって自分が一番かわいいですから。

ナニワ金融道に出てきたエピソードに、売掛金を集金して、そのお金を会社に持って帰らず自分の給与に充ててそのまま退職した幹部社員というのが出てきます。経営危機に陥っている会社ですから、命綱とも言える現金を奪われたら会社がどうなるか、幹部社員ならよくわかってるはずです。でも、彼はそういう行動をした。今まさに追いつめられている経営者からしたら、殺しても飽き足らないくらいの暴挙です。でも、この幹部社員も別に悪人だからそうしてるわけでもないんですね。彼は彼の正義がある。というか、正義があると信じ込んでる。自分が如何にこれまで会社に貢献してきたか、会社が今あるのは自分のおかげであると言っても過言ではない、にも関わらず会社は自分に対してこれまで何をしてくれたか、であればこのお金を持ち逃げしたところで何の問題があろうか。と言ったことを逃げた幹部社員は考えるわけです。一方、経営者は経営者で自分の観点からの正義を振り飾すわけです。そこには善悪の区別があるわけではありません。登場人物がそれぞれ自分の正義を振り回すだけなのです。

フィクションではなく、私も自分の目でそういう光景を見たことがあります。幸いにと言いますか、経営者の立場ではなく、従業員の立場でしたけれど。夢を語り合っていた経営者達が、お互いの正義を振りかざして対立している様を見るのはとても辛かったです。その経験があるので、私は自分が起業するときは人と一緒にすることはせずに一人でやっていたというのもあります。その選択は、今でも間違ってなかったと思ってます。会社が潰れて経営陣が対立するというのを経験した人は少ないかもしれませんが、例えば友人の連帯保証人になったけど逃げられて借金背負って人生を棒に振ったおじさんとか、親戚の中に一人くらいいたりしませんか。そんなに珍しい話ではないですよね。

紹介した記事に戻りますが、経営者の役目とは如何に裏切りを防ぐかということです。ブコメにもありますが、そこで有効な手法の一つが血縁関係を利用するものです。いわゆる同族企業ですね。ネットでは侮蔑の対象になりがちな同族企業ですが、血縁関係を利用して裏切りを防ぐというのは有効な手立てだと思いますね。紹介した記事では金銭的な契約を用いて裏切りを防ぐことを紹介していますが、血縁関係の場合は裏切ったら天涯孤独になってしまうという恐怖を用いて統治するわけです。公器である会社を一族で私物化してるという批判もあり得ますが、上場企業ならともかく中小零細企業ならそれもありなんじゃないでしょうかね。統治のためのコストを節約できて、その分業務に回せるのですし。従業員にとってはどんなに頑張っても出世できないというのが不満かもしれませんが、その程度の企業なら独立して自分で起こせばいいんじゃないでしょうかね。


あおやぎのさいと2.0 なんだかフリーランス