感想と中傷の境目

2023/7/25作成

最初に書いておくと、私自身はローリー寺西さんは名前を聞いたことがあるくらいで、全然知識はありませんしファンでもありません。今回ググってみたところ、ローリー寺西は旧芸名で現在は ROLLY と名乗ってらっしゃるのですね。その程度のことも知らない人間の書くことだという前提でお読みください。どうもファンかどうかで随分ととらえ方に差がある話らしいので。

【謝罪済】有名タレントROLLY(ローリー寺西)が一人のファンのツイートにプライドを傷つけられ、執拗に問い詰める様子が見ていて辛い件。

ROLLY さんの出演したライブを観た方が感想をつぶやいたところ、その内容に ROLLY さんが激怒して絡んできた。あとで ROLLY さんは取り消して謝罪されていますので、当事者間ではこの話は解決済みのことということでよいかと思います。

ファンの方の感想は、ROLLY さんがジミー・ペイジのように演奏するのかと思ったらそうではなかったというものです。

2023-07-19 ROLLYのブチ切れ案件についてロックファンからの補助線(訂正・修正とお詫びあり)

ROLLY さんのファンの方による、なぜご本人が激怒したかの解説。曰く、ROLLY さんのこれまでの音楽家人生そのものを否定するような感想だったために激怒したとのことです。なるほど。怒りの背景はわかりましたが、それにしても昭和のパワハラ上司のようなあの劇詰めはやっぱり褒められたものではないと思うのですけれどねぇ。

という今回の事件の背景をふまえて、個人的に考えたいのが感想と中傷の境目はどこだろうということです。ファンの方の解説によると、今回の感想ツイートは感想ではなく ROLLY さんに対する中傷になるようですね。

いうまでもないことですが、中傷はダメです。特にネットでの中傷はいけません。テレビでアイドルを見てブスだなとか歌が下手だなとかつぶやくのはお行儀がいいとは言えませんが、テレビの前だけで言ってる分には閉じているので被害はありません。しかしネットで書くと他の人も読みますし、何よりも本人の目に触れる可能性がある。本人にとっては中傷はとても辛いですよね。それによって木村花さんの事件のようなことが起こりましたし、韓国では指殺人と呼ばれているそうです。

一方ですが、感想は推奨されています。近年は SNS の拡散力が期待されて、ライブなどでも「ぜひ SNS で感想書いてください」って主催者からしつこいくらいにお願いされます。それならばと思って感想をツイートしたところ、ご本人から劇詰めされるとしたら、なんて大変なボタンの掛け違い。これどうしたらいいんでしょうね。

感想にしても中傷にしてもですが、あらゆる言説が受け取る側次第という話はあります。今回の感想ツイート(ROLLY さんサイドにとっては中傷ツイート)も、ありがたい感想と受け止められた可能性はあります。「下手くそやめちまえ」みたいな誰が見ても中傷ツイートだったとしても、ありがとうございますと受け流すミュージシャンもいるかもしれません。「感動しました。サイコーです」みたいな何の問題もなさそうな感想ツイートでも、本人が今日のライブは失敗したなぁと反省してたら、あんなレベルの演奏を俺と思うなって激怒するかもしれません。

こうなるともうなにがなんだかわかりませんよね。実際、今回の発端になったツイートも私の感覚としては何の問題もない感想ツイートです。でも ROLLY さん及びファンの方にとっては ROLLY さんの音楽家人生を否定する中傷ツイートだったということです。

SNS での中傷はダメですと昨今言われています。それはもっともだと思います。中傷はよくありません。でも、こんな感じでどこに地雷が埋まってるかわからない状態だと、もうネットでは何も言えなくなってしまうよなぁと思ってしまったのが、この記事で書きたかった感想と中傷の境目という問題です。

中傷はダメですって言われてますが、そこでは何が中傷になるかは自明であるという前提にたっていますよね。でもこの件を踏まえると、中傷とそうでないものを分けるのってそんな簡単に出来ることなのでしょうかと疑問に思ってしまいました。