電球型LED/蛍光灯の無駄

2012/6/15作成

政府、白熱電球からLED電球への販売切り替えを要請

まあ、白熱電球は得られる光量に対して消費電力が馬鹿になりませんから、それよりは省電力な電球型蛍光灯や電球型LEDに置き換えるというのは、節電が叫ばれる現時点において"とりあえず"の対策としては意味があると思います。でも、忘れてはならないのはこうした「電球型蛍光灯/LEDってのは少々無駄が多いこと。

どういうことかというと、白熱電球は電気を通すだけで発光します。直流交流も関係なしです。それに対して蛍光灯は単純に電気を流すだけでは点灯しません。安定器が必要になります。LEDは単純に電気を流すだけで点灯するのですが、発光ダイオードというくらいですから直流でなければなりません。家庭用電力は交流ですから整流器が必要です。

一般に販売されている蛍光灯には安定器は入っていません。なぜなら照明器具側に安定器が入っているので、蛍光灯自体には不要だからです。白熱電球用の照明器具には安定器は入っていないため、電球側に安定器が必要になります。電球型LEDの場合は整流器が必要になります。これらの回路が「全ての電球型蛍光灯/LEDに入っているのです。これって無駄なことだと思いませんか?これらの回路が入っていることが、白熱電球に比べて電球型蛍光灯/LEDが高価な理由でもあります。

それでもまあ、白熱電球用の照明器具が既に据え付けられている所に代替としてこれらの電球型蛍光灯/LEDを使用するのは過渡期には仕方がないと思います。しかし、将来的にはこれらの回路は電球側ではなく照明器具側に内蔵して、電球はシンプルになるべきではないかと思います。

(2018/4/30追記)

最後に「これらの回路は照明器具側に内蔵して、電球はシンプルになるべきではないかと思います」と書きましたが、更に考えを推し進めると家庭内直流電源があると理想的ですよね。多分。

発電所から全部直流で流すとロスが多いし降圧が難しいとか問題はありますのでそのままとしても、家庭内については実は近年は直流を受ける機器が多くなっていて、家庭内直流電源の需要というのは大きくなっているのではないでしょうか。直流電源の機器と言えばもちろん本文で述べているLED照明もあります。電球を置き換えるだけではなく、メインの照明も随分と蛍光灯からLEDへの置き換えが進んでいます。電球型LEDに比べるとロスは小さいとはいえ、これらのLED照明にもやはり整流器が個々に入っていることには違いがないのですよね。

他に直流電源を必要とするものといえば、PCやゲーム機などのIT機器類。これらはみんな実際には直流電源で駆動するので、それぞれの機器内に交流直流を変換する回路を内蔵してます。無駄ですよねぇ。そういえばデータセンターでは内部では直流給電にして個々のサーバにはいわゆる電源ユニットは搭載しないようにすることもあるそうです。そりゃ効率からいったらそうなりますよねぇ。

そして、スマホをはじめとする多くのガジェット類は、ほとんどがUSB経由で充電するようになっています。USB電源は直流ですので、交流のコンセントから充電できるように、USB充電器内に交流直流変換回路が入ってます。これも無駄ですね。

これだけ家庭内で多くの機器内で交流から直流への変換が行われているのなら、いっそ家庭内に直流電源を作ってしまえば効率がよくなりますよね。その場合、上述しました通り発電所からは交流で配電する必要があります。あくまでも直流が必要なのは家庭内のこと。なので各家庭の電気メーターかブレーカーの辺りに交流直流変換器の親玉を起き、そこからせいぜい数十メートルくらいを直流配電するというのがいいですよねぇ。是非そのようになって欲しいなと思います。もちろんメーカーの方々もそれくらいは考えているはずですので、是非実現に向けて頑張っていただけるといいなと思います。