大人の趣味、子供の趣味

2017/3/14作成

大人の趣味と書くと淫靡な雰囲気がしないでもないですが、全然そんな内容ではないです。

これから書くことは、自分の狭い経験の範囲から考えた仮説ですので、世間一般にすべてがそうだ、と言いたいわけではありません。例外は多々あるだろうというのは承知しております。あくまでも、ああそういうケースもあるかもね、程度で読んでいただければと思います。って、なにをおそれて前書きして断ってんのかね。こんな過疎ったサイトを誰も見やしないのにねぇ。

私は趣味でマラソンをしています。しかし、学生時代に部活などでスポーツをしていたわけではありません。純粋に、大人になってから自分自身の興味からはじめました。

マラソンを始めたら、友達も誘いたくなりまして何人にも声を掛けました。どうせやるなら、一人でやるよりも大勢でやった方が楽しいかなと思ったんですね。今考えたら余計なお世話な気もしますが、まあそれはいいとして。

なかには奇特なことに誘いに乗ってくれて一緒に走るようになった友達もいるのですが、そうそう数はいませんでした。たいていの友達には断られました。そりゃまそうですよね。逆の立場で、私が友達に何かスポーツや趣味に誘われても、自分が興味ががないかぎり一緒にやろうとは思わないです。

そうやって何人もの友達に断られたのですが、その中の一人に断られた理由が、「学生時代に陸上部で走りまくってたので、もう走るのはこりごりです」というものがありました。帰宅部だった私からしたら、そんな経験があるのなら是非また走ればいいのにと単純に思うのですが、そうでもないのですね。

わからんでもないのですけどね。社会人になっても再開しても、たいていの場合において学生時代の自分のベストの成績を追い越せない。大人になったら体力のピークは過ぎてますし、そもそも練習時間が確保できません。かつての自分を追い越せないのがわかっていれば、モチベーションがわかないというのも一理はあるでしょうかね。

こっからが仮説です。学生時代に部活でスポーツに触れた経験のある人は大勢いるわけですが、その経験は大人になってからの生涯スポーツにつながってないのではないか、ということです。生涯スポーツが必ずしも善かどうかという論点もあるのですが、とりあえず善であると仮定するとしたら、そこに繋がってないのは部活がもったいないなと思いました。つながってないだけならともかく、部活で燃え尽きてしまって生涯スポーツから遠ざけてしまっているとしたら逆効果ですよね。

そもそも部活の目的ってなんでしょうかね。厳しい練習や試合を通して人格形成ってのはまあ大きいとは思います。プロアスリートを育成するためのピラミッドの底辺を広げるってのもありますね。プロ野球など、部活がプロ選手の主たる供給源になっている種目はいくつもありますし。今の学生部活の隆盛は1964年の東京オリンピックを契機に選手レベルを向上させるために引き起こされたという話を聞いたような気もします。どれもまあ立派な目的ですが、そこには生涯スポーツへのつながりはどこにもありませんね。自分の身の回りの狭い観測範囲の話ですが、学生時代の部活からそのまま生涯スポーツにつなげている人ってのはあまりみないような気がします。今はマラソンが大ブームですが、走っている人の多くは学生時代に他種目も含めて部活の経験がない人というアンケート結果を見たような気もします。これだと、生涯スポーツという意味ではむしろ部活がない方が効果があるのではないかと思ってしまいます。

仮説が飛躍しますが、現代の多くの部活においてあまりにも勝利至上主義に陥っているのが一つの原因ではないでしょうか。真剣に取り組むことで大きな経験を得られるのは確かですが、そこで燃え尽きてしまったり、厳しい練習に嫌気がさしてしまって、部活をやめてからはもうスポーツに関わりたくないって感じてしまうこともあるように思います。

一方、私のように学生時代の部活の経験がない人が自発的にスポーツを始めた場合、そこには勝利至上主義はありません。もちろん人によってはそこまで追い込む人もいるでしょうけれど、それも含めて本人の自由意志によるものです。顧問や先輩に命令されてシゴかれるのとは全く違います。

自由意志でやっていますから、どこまでのレベルで取り組むかも自分で決められます。辞めたくなったら辞めればいいのです。それで誰にも文句を言われることもありません。その自主性、つまり自分の意志で決められるというのが大人の趣味の特徴ではないでしょうか。そして、自分の意志で取り組むからモチベーションも高く、効果的に取り組むことができるのかもしれない。そこは、顧問や先輩から無理矢理やらされてるのとは全く違う世界が広がっています。

上にも書きましたとおり、部活にも現時点でもさまざまなメリットがあります。それをいきなり全否定するつもりはないのですが、もう少し生涯スポーツへの橋渡しを意識してもいいのではないだろうかというのが一点。もう一つは、大人になってからの趣味は自分の意志で取り組むため、無理矢理やらされる部活に比べると本人の満足度が高いのではないだろうかという点。

冒頭にも書きましたとおり、自分の観測した狭い範囲での経験からのつたない仮説ですので盛大に間違っているとは思いますが、まあこういう見方もあるんだなぁという程度で読んでみていただければ幸いです。