「オトナ語の謎。」糸井 重里

2007/12/27作成

糸井重里氏が企業社会で使われている独特の言い回しをオトナ語としてまとめているというのは知っていたけど、具体的には読んだことはなかった。元々はウェブサイトにあったコンテンツをまとめた本。

読んでると確かにニヤっとさせられるところはある。まあ面白いといえば面白い。ただ、分量が多い。300ページ以上もまとめて読んでると、正直お腹いっぱいになってしまう。ウェブサイトなりメールマガジンなりで1日1ネタ程度で披露されるとちょうどいいんだろうけれど、まとまってるとしんどいなぁ。

ただ、まとまっていることで資料性は高くなる。前書きに新社会人向けの教科書としてもとあるけど、現代民俗学(?)的な資料としての価値もあると思う。

読んでて気になるのは、解説文のほとんどがちょっと皮肉めいていること。読んでいるのも書いているのもオトナ語の使い手だから自嘲めいているんだけど、これだけ繰り返されると少々嫌気がさしてくる。

個別のネタでちょっと気になったこと。「名刺を切らしていまして」は別に名刺を忘れたわけではない。それは名乗っている会社の所属ではなく、実は子会社だったり下請け会社の人だということ。言われる側もそれは承知していて、相互に暗黙の了解がそこにはある。こんなことを知らないということは、糸井氏もしくはネタを出した人は、そういう他人の看板で仕事をした経験がないんだろうなぁ。それはそれで幸せなことで羨ましいことではあるんだけど。

もう一つ。「まえかぶ」「あとかぶ」が出てきたけど、会社には他にも種類があるぞ。会社法になって厳密にはなくなったけど有限会社だと「まえゆう」「あとゆう」もあるべきじゃないか。合名/合資/合同だと「まえめい」「あとめい」「まえし」「あとし」「まえどう」「あとどう」のはず。法人は会社以外にもまだまだあるぞ。財団法人だったら「まえざい」「あとざい」、医療法人は「まえい」「あとい」、宗教法人で「まえしゅう」「あとしゅう」もあってしかるべきではないか。いやないか。

それにしても「大人語」ではなく「オトナ語」か。さすが名コピーライターだなぁ。