「タリバン」田中 宇

2007/6/24作成

タイトルのタリバンを中心に、近世以降のアフガニスタンを中心とした中央アジア情勢までを概説した本。非常に読みやすい文章だと思うのだが、それでも読むのがちょっとしんどかったのは、要するにこの地域の地名や歴史についての予備知識が自分に全く無いからである。教養無いなぁ>自分

つくづくなんだかなぁと思うのは、タリバンにしてもオサマ・ビンラディンにしてもフセインにしても、かつては親米だったのに、いつのまにやら反米になってしまうこと。それぞれの立場があり、利害によって時には味方に時には敵にというのは当たり前の話ではあるけれど、それにしても。

面白い指摘だなと思ったのは、民族として負けた経験の有無が民族の性格を大きく変えるという点。太平洋戦争以前の日本人がそうだし、そしてアフガニスタン人は未だに負けた経験が無いから、と。そう解釈すれば戦後日本人のメンタリティが大きく変わったと言われるのも理解できるかもしれない。

奥付によると本書が発行されたのは2001年10月25日である。つまり、同時多発テロの後ではあるが、時期的に本書の大部分はテロ以前に書かれているはずである。実際、本書の中でも同時多発テロに関する記述はあるものの、非常に部分的であり、また他の文章との関連も低く、おそらくはテロ発生後に急いで追記されたのではないかと思う。そこですごいなと思うのは、テロ発生から大して時間が経っていないであろうに、この時点で筆者の田中宇氏は既にアルカイダの犯行であるとほぼ断定している事。私の記憶では、テロ発生からアルカイダの犯行と言われるまでには少し間が空いていたように思うのだが。

これはつまり当時の国際情勢をある程度知っている人にとって、このテロがアルカイダが行ったというのはすぐに分かるほどの自明なことだったということなんだろう。ただ、世間の大半の人はそこまでの知識は無かったので、それを浸透させるのに少し時間が掛かったということなんではないかと思う。私を基準にするのはなんだが、私はこのテロがあるまでアルカイダという名前を知らなかった。アルカイダが過去に起こした世界貿易センタービル爆破事件やアメリカ大使館爆破事件などはニュースとして覚えてはいたけど、それがアルカイダの犯行であるとまでは覚えていなかったし、同時多発テロに至るまでの一連の流れがあるということも把握してなかった。


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